セッション情報 一般演題

タイトル 249:

少量ステロイドの減量中にHBV reactivationをきたしたHBV carrierの1例

演者 秋山 巧(佐賀大学 内科学)
共同演者 岩根 紳治(佐賀大学 内科学), 有尾 啓介(佐賀大学 内科学), 江口 有一郎(佐賀大学 内科学), 安武 努(佐賀大学 内科学), 水田 敏彦(佐賀大学 内科学)
抄録 【はじめに】HBV carrierは本邦に約150万人存在するとされるが,抗癌剤による化学療法や高用量のステロイド投与時などはHBVのreactivationを起こり,時に重症化することがあるため,核酸アナログなどの抗ウイルス薬を併用することが推奨されている。今回我々はHBV carrierに対し低用量ステロイドの漸減中にHBV reativationが起こり,肝炎をおこした症例を経験したので報告する。【症例】55歳女性。ステロイド治療前はHBsAg陽性,HBeAg陰性,HBeAb陽性,HBVDNA 4.2 logcopy/mlで,肝機能は持続正常であった。関節リウマチに対し2006年6月よりprednisolone 10 mg/日投与開始後緩徐に減量され,11月7日から6 mg/日となった。12月8日肝機能異常を認め当科に紹介受診。検査所見はALT 584 IU/l, PT 91.5%,Alb 4.0 g/dl,T-bil 0.9 mg/dlであった。この時点でもHBeAg陰性,HBeAb 陽性であったが,HBV-DNA>7.7 logcopy/mlと増加していたため,Entecavir 0.5 mg/日を開始した。HBVはgenotype C,precore変異株,core promoter変異100%であった。Entecavir開始後HBV-DNA は次第に減少し,肝機能は速やかに改善した。【考察】本症例は肝機能正常であり,ステロイドの投与量も少量であり,また非常に緩徐に減量予定であったため核酸アナログの予防的な投与は行わなかった。しかし低用量のステロイド投与でも本症例のようにHBV reactivationが起き,肝炎が惹起される可能性があること念頭に置くべきであると考えられた。
索引用語 HBV, ステロイド