セッション情報 一般演題

タイトル 126:

化学療法により完全寛解が得られた、巨大皺襞型胃MALT lymphomaの一例

演者 高津 典孝(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 石原 裕士(福岡大学筑紫病院 消化器科), 中村 守(福岡大学筑紫病院 消化器科), 長浜 孝(福岡大学筑紫病院 消化器科), 久部 高司(福岡大学筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 消化器科), 八尾 建史(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科)
抄録 症例は70代女性。2006年4月16日に吐血を認め、当院を受診。上部消化管内視鏡検査にて、胃噴門部から胃体下部にかけて皺襞は著明に腫大し、粘膜面からの出血を認め、管腔の伸展不良で、4型胃癌を疑った。胃X線検査でも、胃体部全体がレザーボトル様に収縮肥厚していたが、4型胃癌と巨大皺襞型Malignant lymphomaとの鑑別が困難であった。生検病理組織学的所見では、中型の異型リンパ球の瀰漫性浸潤、LEL(lymphoepithelial lesion)の形成を認め、免疫学的検索では、これらの異型リンパ球はCD20,CD79a陽性でCD3,CD5,CD45RO陰性であり、MALT lymphomaと診断した。Stagingのため、腹部エコー、CT、PET、骨髄穿刺、注腸造影検査を施行したところ、胃周囲のリンパ節腫脹を認め、Lugano国際分類にてstageII 1と判定した。尿素呼気試験にてH.pylori陽性であったため、まず除菌療法を施行したが、貧血の進行を認め、胃透視でも病変は除菌前と不変であったため、早急に二次療法が必要と考え、5月10日にTHP-COP療法(pirarubicin,cyclophosphamide, vincristine)を施行した。治療後の上部消化管内視鏡検査にて、病変は縮小傾向となった。以後Rituximab併用THP‐COP療法を5クール施行し、胃の隆起性病変は消失し、病理生検でもlymphoma cellの消失を確認した。また腹部CT上も胃周囲リンパ節は消失し、完全寛解となった。本症例は除菌療法無効の胃MALT lymphomaであったが、二次療法として化学療法を施行し、完全寛解が得られた。除菌無効胃MALT lymphomaに対する確立された治療法は現時点ではないが、本症例は化学療法が有効であったため、文献的考察を交え報告する。
索引用語 胃MALT lymphoma, 二次療法