セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告1

タイトル 消P-731:

55ヶ月の経過で慢性肝炎から末期肝不全へ移行したC型慢性肝炎合併成人発症II型高シトルリン血症(CTLN2)の一剖検例

演者 岩切 久芳(宮崎大・消化器血液学)
共同演者 大園 芳範(宮崎大・消化器血液学), 平田 昌子(宮崎大・消化器血液学), 竹田 幸子(宮崎大・消化器血液学), 日高 舞(宮崎大・消化器血液学), 橋本 神奈(宮崎大・消化器血液学), 土持 舞衣(宮崎大・消化器血液学), 山路 卓巳(宮崎大・消化器血液学), 中村 憲一(宮崎大・消化器血液学), 安倍 弘生(宮崎大・消化器血液学), 三池 忠(宮崎大・消化器血液学), 楠元 寿典(宮崎大・消化器血液学), 山本 章二朗(宮崎大・消化器血液学), 蓮池 悟(宮崎大・消化器血液学), 永田 賢治(宮崎大・消化器血液学), 盛口 清香(宮崎大・構造機能病態学), 畠山 金太(宮崎大・構造機能病態学), 丸塚 浩助(宮崎大・構造機能病態学), 浅田 祐士郎(宮崎大・構造機能病態学), 下田 和哉(宮崎大・消化器血液学)
抄録 【症例】死亡時42歳の男性。2001年8月、前医にてC型慢性肝炎(CH(A1/F1))と診断され、以後、近医にて経過観察中であった。2005年7月、突然の意識障害にて前医に救急搬送となった。救急外来での精査上、肝障害に加え、血小板及びアルブミンの低値、血中アンモニアの著明高値(561μg/dl)を認め、C型肝硬変症に起因する肝性昏睡と診断された。しかし、入院後の精査にて血中シトルリン高値、豆類嗜好を認め、再度施行した肝生検でもCH(A1/F1)の所見であったことより、成人発症II型高シトルリン血症(以下CTLN2)の合併が疑われた。当科転院後、遺伝子検査にて同診断が確定し、以後、低炭水化物食の食事療法に加え、BCAA製剤及びアルギニン製剤の投与を中心とした内科的加療を継続していた。しかし、2009年初旬より、肝不全徴候が顕著となり、2010年2月に意識障害発症後55ヶ月の経過で死亡した。剖検上、肝臓は著明な萎縮を呈する肝硬変の像を呈していた。
【考察】CTLN2はアルギニノコハク酸合成酵素の肝細胞における低下により高アンモニア血症・高シトルリン血症、延いては代謝性脳症をきたす予後不良の常染色体劣性遺伝疾患である。法正らの報告によれば、保存的加療にて経過を追われたCTLN2患者68例において、生存率は5年生存率が14.5%、50%生存期間は16ヶ月とされる。本症例は、C型慢性肝炎の合併があったにも関わらず、上記加療にて意識障害発症後も比較的長期の生存が可能であった。
【結語】CTLN2は、そのほとんどが本邦において報告されているが、C型慢性肝炎との合併例は検索し得た範囲上、確認できず、また、この合併故に、意識障害発症前からの組織学的経過を追う事が可能であった稀な症例と考え報告する。
索引用語 成人発症II型高シトルリン血症, C型慢性肝炎