セッション情報 一般演題

タイトル 35:

Collagenous colitisの2例

演者 山口 敢(国立病院機構 小倉病院 消化器科 臨床研究部)
共同演者 山縣 元(国立病院機構 小倉病院 消化器科 臨床研究部), 山口 裕也(国立病院機構 小倉病院 消化器科 臨床研究部), 渡辺 次郎(国立病院機構 小倉病院 研究検査科 臨床研究部)
抄録 症例1は69歳、女性。昭和43年に肺結核の手術を受け、以後継続的に気管支拡張剤や去痰剤の投与を受けていた。平成6年頃より1日10行程度の水様下痢と便秘を、概ね2週間ごとに繰り返すようになった。平成18年11月、小脳梗塞を発症し近医に入院した際、1日7-10行の水様下痢が出現し、二次性の低K血症による四肢脱力も出現したため、精査加療目的で12月27日、当院を紹介され入院となった。血液検査では、CRP 0.86mg/dlと軽度の炎症反応を認め、蛋白 6.1g/dl、アルブミン 3.4g/dlと低値で、Kは1.5mEq/lと著明に低下していた。大腸内視鏡検査では、上行結腸から横行結腸にかけて、色素散布により認識可能となるやや粗ぞうな粘膜を認めた。内視鏡下生検標本の病理組織検査では、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸より採取したすべての標本で表層上皮下に15-20μmのコラーゲン帯を認め、collagenous colitisと診断した。原因として薬剤の関与を疑い、テオフィリンおよび塩酸アンブロキソールを中止したところ、中止4日目に下痢は消失した。症例2は77歳、女性。平成18年4月より近医で逆流性食道炎に対してランソプラゾールの投与が開始された。同年7月より1日7-8行の水様下痢が出現し、某院で上下部消化管内視鏡検査を施行されたが、異常を指摘されなかった。その後も症状が改善しないため平成19年2月15日、当科を紹介され入院となった。血液検査では、CRP 0.91mg/dlと軽度の炎症反応を認め、蛋白 4.8g/dl、アルブミン 2.2g/dlとそれぞれ低値であった。大腸内視鏡検査では、盲腸から直腸にかけて血管透見像が消失あるいは乱れた粗ぞうな粘膜を認め、特に盲腸から横行結腸近位側にかけては易出血性であった。病理組織検査では大腸5ヶ所より採取したすべての標本でコラーゲン帯を認め、Collagenous colitisと診断した。ランソプラゾールが原因薬剤である可能性を考え中止したところ、中止6日目に下痢は消失した。Collagenous colitisは水様下痢を主症状とする炎症性腸疾患であり、欧米では広く知られているが、本邦での報告は比較的まれである。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 collagenous colitis, 薬剤性