セッション情報 ワークショップ1

タイトル W1-05:

潰瘍性大腸炎に合併したcolitic cancer症例の検討

演者 西村 拓(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 消化器科), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院 消化器科), 久部 高司(福岡大学筑紫病院 消化器科), 津田 純郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科), 和田 陽子(和田病院), 平野 憲二(福岡大学筑紫病院 外科), 二見 喜太郎(福岡大学筑紫病院 外科), 田辺 寛(福岡大学筑紫病院 病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院 病理部)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(以下UC)の長期経過例が増えるに従い、colitic cancer、dysplasiaが発見される症例が増加してきている。今回我々は、当科で経験したUC症例のうち、cancer合併例の臨床的特徴について検討した。【対象】当科にて1985年~2006年までに診療したUC患者は633例であり、そのうち大腸癌合併例は14例にあった。このうち、カルチノイド腫瘍を除いた大腸癌症例は13例(2.1%)であり、その13例(20病変)を対象とし検討した。【方法】1)患者背景(男女比、年齢、発症年齢、罹病期間)、2)発見の契機、3)病型、4)内視鏡所見、部位、5)病理学的所見(肉眼型、組織型、深達度)について検討した。【結果】1)患者背景〔男女比:8:5,年齢:51.7歳、発症年齢:40.2歳、罹病期間:12.0年(0~27年)、〕であった。2)発見の契機:サーベイランス;8例(62%)、血便;3例、その他2例であった。3)病型:全大腸炎型;8例、左側大腸炎型;4例、直腸炎型;1例であった。4)内視鏡所見:発赤調、顆粒状~絨毛状の扁平隆起、結節状の扁平隆起、粘膜下腫瘍様隆起など多彩な病変を呈していた。部位(20病変):直腸;11病変、S状結腸;4病変、横行結腸;3病変、上行結腸;2病変であった。5)病理学的所見〔肉眼型:1型;1病変、2型;3病変、4型;2病変、表面隆起型;13病変(65%)、分類不能;1病変であった。(組織型)分化型腺癌;17病変、未分化型+印環細胞癌;1病変、粘液癌;1病変、内分泌細胞癌;1病変であった(診断のためESDを行った2例を含む)。(深達度)m;7病変、sm1;1病変、sm3;1病変、mp;3病変、ss;3病変、se;1病変、a1;3病変、切除不能;1病変〕であった。【結語】大腸癌合併例は罹病期間の長い全大腸炎型のUC患者に多く、発見の契機からはサーベイランスの重要性が示唆された。肉眼形態は多彩であり早期発見を目的とするサーベイランスの際には、発赤調の顆粒状~絨毛状の表面隆起性病変に注意し、的確な狙撃生検(ESDを含む)が必要である。
索引用語 潰瘍性大腸炎, colitic cancer