セッション情報 一般演題

タイトル 122:

メシル酸イマチニブ投与により主病巣および肝転移巣の縮小を認めた胃悪性GISTの一例

演者 是此田 康(町立芦屋中央病院)
共同演者 西村 拓(福岡大学筑紫病院消化器科), 中村 守(福岡大学筑紫病院消化器科), 大原 次郎(町立芦屋中央病院), 矢野 豊(町立芦屋中央病院), 大重 要人(福岡大学筑紫病院病理部), 池田 圭祐(福岡大学筑紫病院病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部), 櫻井 俊弘(町立芦屋中央病院)
抄録 メシル酸イマチニブはチロシンキナーゼ阻害剤であり、慢性骨髄性白血病の治療薬として開発された。2003年にGISTに対しても保険適応が追加され、悪性GISTのネアジュバンド、アジュバント治療の他、手術適応外の症例に対して使用され、概ね良好な治療成績をあげている。しかし、多数例の治療経過を明らかににした報告は多くない。今回、我々は、メシル酸イマチニブ投与にて主病巣および肝転移巣の縮小を認めた症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。【症例】62歳男性。【主訴】めまい、倦怠感。【現病歴】2005年7月に胸焼けが出現、同年12月には時折の黒色便に気づいていたが放置していた。2006年7月30日に倦怠感、めまいが出現し当院を受診した。初診時、貧血を認め精査目的で入院となった。【検査成績】一般血計にてHb 7.6g/dlと著明な貧血と白血球増多を認めた(WBC 13500/μl)。生化学はTP 6.1g/dlと軽度の低蛋白血症を認める以外異常はなかった。CEA、CA19-9 に異常なかった。上部消化管内視鏡検査では胃噴門直下から穹隆部に大きな粘膜下腫瘍を認め、頂部に下掘様の潰瘍と打ち抜き様潰瘍をともなっていた。生検病理組織にて紡錘形腫瘍細胞を認め、免疫染色ではCD34、C-kit、vimentin、caldesmonが陽性で、 calponin、SMA、HHF35、desmin、S100、synaptophysin、neurofilament、chromogranin A、Myoglobinはいずれも陰性、さらに核分裂数は5/9HPFであり悪性GIST、smooth muscle type(Cajal cell type + Muscle cell type)と診断した。胃X線検査では腫瘍の長径は約10cmであった。腹部超音波・CT検査にて、肝内に、中心および周辺の低エコー域をもつ径26mmの腫瘤と10個ほどの同様の小腫瘤を認め、転移巣と判断した。【経過】多発肝転移をともなっていたため手術は断念し、メシル酸イマチニブ400mg/日の投与を開始した。治療後1ヵ月後の内視鏡検査では、腫瘍は丈を減じ、頂部の潰瘍も縮小を認めた。7ヶ月後には、胃腫瘤は約4cmと著明に縮小し、肝転移巣も若干の縮小を認めた。治療開始後に軽度の顔面浮腫がみられたものの、貧血の増悪、顆粒球減少などの重篤な副作用はなく、現在も治療中である。
索引用語 GIST, メシル酸イマチニブ