セッション情報 一般演題

タイトル 235:

肺病変を合併した好酸球性腸炎の一例

演者 大原 次郎(町立芦屋中央病院)
共同演者 中村 守(福岡大学筑紫病院消化器科), 西村 拓(福岡大学筑紫病院消化器科), 矢野 豊(町立芦屋中央病院), 池田 圭祐(福岡大学筑紫病院病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部), 櫻井 俊弘(町立芦屋中央病院)
抄録 今回,我々は肺病変を合併した好酸球性腸炎の一例を経験した.PSL投与により,肺病変は腸病変とともに改善した.特発性好酸球増多症候群との異同につき興味深い症例と考え,文献的考察を含め報告する.【症例】40歳男性.【主訴】腹痛,下痢,食思不振,全身倦怠感【現病歴】平成17年5月初旬より誘因なく下腹部痛と心窩部痛が出現した.5月18日より心窩部痛が増強し,1日3行の下痢と食思不振,全身倦怠感も出現した.職場の医務室でH2blocker を処方されたが,症状の改善がないため近医を受診.好酸球増多を伴う白血球増多とCRP高値を指摘され, 5月31日に当院を紹介受診,同日入院となった.【既往歴】36歳より気管支喘息にて加療中【生活歴】特記事項なし【入院時現症】体温37.0℃.臍周囲に圧痛あり.皮膚および頭部,頸部,四肢,体幹に異常なし【検査所見】一般血計で貧血はなかった.白血球は 22200/mlと高度の増多を認め,好酸球は46.6%と著明に増加していた.生化学では軽度の低アルブミン血症と肝障害を認めた.CRPは28.0mg/dlと著しい高値を示した.ESR は18mm/hrと軽度亢進のみであった.IgEは 4800IU/mlと著明な高値であった.【画像所見】小腸X線検査:十二指腸・空腸を主体にほぼ全小腸に著明な浮腫像を認めた.上部消化管内視鏡検査:十二指腸球後部から第二部にかけて著明な浮腫とびらん・潰瘍を認めた。同部の生検病理組織にて粘膜に好酸球の浸潤を認めた.下部消化管内視鏡検査:憩室以外に異常なし.腹部US・CT:小腸壁の肥厚と腸間膜リンパ節腫大を認めたが.腹水はなかった.胸部X線にて右下肺野に浸潤影を認め,CTでは右中・下葉に汎小葉性分布を主体とするすりガラス影を認めた.UCG:異常なし【入院後経過】絶食,IVH管理とし,6月1日よりPSL 60mg/日より投与を開始した.抗生剤投与は行わなかった.PSL開始後速やかに症状は改善し,6月3日には WBC 10900/ml (Eosino 2.3%)と低下,画像上小腸の浮腫も改善,16日には胸部CT上の陰影も消失し,21日退院となった.
索引用語 好酸球性腸炎, 肺病変