セッション情報 一般演題

タイトル 179:

食道アカラシアに合併したSMA症候群の一例

演者 小野 陽一郎(福岡大学筑紫病院消化器科)
共同演者 長濱 孝(福岡大学筑紫病院消化器科), 高木 靖寛(福岡大学筑紫病院消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科), 藤澤 和明(藤沢内科クリニック)
抄録 症例は20歳代の女性。2006年4月頃より曖気、8月頃からは朝や就寝中の嘔吐、口腔内逆流を繰り返すようになった。その後、約6kgの体重減少や腹部膨満感といった上部消化管閉塞症状も出現したため近医受診、食道アカラシアと診断。薬物療法(Ca拮抗薬)にても症状が持続するため当院紹介受診。当院上部消化管内視鏡にて食道拡張を認め、十二指腸の拡張も認めた。上部X線検査では紡錘型II度の食道アカラシア、また、十二指腸下行脚から水平脚にかけてバリウムの停滞と拡張および水平脚に管外性の圧排像を認めた。腹部エコー(ドップラー)で腹部大動脈(Ao)と上腸間膜動脈(SMA)のなす角度(arterio-mesenteric angle、以下、A-M angle)は鋭角であり胃内容物の貯留を認めた。以上の所見よりSMA症候群を合併した食道アカラシアと考え、アカラシアに対して内視鏡的バルーン拡張術を施行。嘔吐・吐気などの症状は改善し、食事摂取も可能となった。その後、BMIの上昇とともに、エコーにおけるA-M angle、造影検査での十二指腸水平脚の圧排像も改善した。 本症例は食道アカラシアによる摂食障害を機に急激な体重減少をきたし、二次的にSMA症候群を発症、アカラシアに対する内視鏡的バルーン拡張術により結果的にBMIが上昇し、SMA症候群も改善した。これまでに精神疾患による摂食障害、腫瘍性疾患、外傷・火傷などに起因したSMA症候群の報告はなされているが、食道アカラシアに合併したSMA症候群の報告はなく、今後、この様な病態が起こりうることを念頭に入れた検査が必要と考え報告した。
索引用語 食道アカラシア, SMA症候群