セッション情報 一般演題

タイトル 66:

消化管濾胞性リンパ腫の一例

演者 熊谷 好晃(九州大学 大学院 病態機能内科学)
共同演者 松本 主之(九州大学 大学院 病態機能内科学), 矢田 親一朗(九州大学 大学院 病態機能内科学), 中村 昌太郎(九州大学 大学院 病態機能内科学), 平野 敦士(九州大学 大学院 病態機能内科学), 江崎 幹宏(九州大学 大学院 病態機能内科学), 具嶋 正樹(九州大学 形態機能病理学), 八尾 隆史(九州大学 形態機能病理学), 萱島 孝二(萱島外科胃腸科クリニック), 飯田 三雄(九州大学 大学院 病態機能内科学)
抄録 症例は57歳、男性。2006年7月に腹痛を契機として萱島外科クリニックを受診し、上部消化管内視鏡を施行したところ胃に発赤やびらん、十二指腸に小隆起を認め、生検で濾胞性リンパ腫が疑われたため当科紹介となった。当科にて上部消化管内視鏡および経口、経肛門的ダブルバルーン式小腸内視鏡を行なったところ、十二指腸から空腸、回腸結腸までリンパ濾胞様隆起あるいは発赤した隆起が多発しており、いわゆるMLP(multiple lymphomatous)の携帯を呈していた。生検ではCD20、CD10、CD79a、bcl-2陽性、CD3、CD5、cyclinD1陰性の中型リンパ球が濾胞様構造を形成しながら浸潤増殖しており、grade1の濾胞性リンパ腫と診断した。CTでは腸間膜に多数のリンパ節腫大を認め、FDG-PETでは腸管及び腸間膜リンパ節に取り込みを認めた。また骨髄液のフローサイトメトリーにてB細胞の表面免疫グロブリン軽鎖発現に偏りを認め骨髄浸潤陽性と考えられたため、Lugano国際分類でstageIVと診断し、R-CHOP療法を3コース施行した。3コース終了後の内視鏡ではMLPは消失しており、CTにてリンパ節腫大はほぼ消失していた。骨髄液のフローサイトメトリーも正常化しており、FDG-PETでわずかに取り込みが残存するもののほぼCRの状態と考えられた。地固め療法としてR-CHOP療法を更に3コ-ス追加したところ、、内視鏡、CT、骨髄液の所見に変化無かったが、FDG-PETにて傍大動脈や腸間膜等の腹部リンパ節に多数の異常集積を認め、再発を来したと考えられた。従来は進行期の濾胞性リンパ腫に化学療法を施行しても生存延長には寄与しないとされ、watchful waitの考え方が主流であったが、近年rituximabによる良好な成績や造血幹細胞移植の進歩により進行期の濾胞性リンパ腫も積極的に治療が行なわれている。しかし現在のところ標準的治療は確立していない。今回我々は進行期の消化管濾胞性リンパ腫に対してR-CHOP療法を施行したので報告する。
索引用語 濾胞性リンパ腫, R-CHOP