セッション情報 一般演題

タイトル 130:

A型胃炎を背景に発症し、リンパ節転移を伴った直径7.8mmの胃カルチノイド腫瘍の一例

演者 芦塚 伸也(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 長浜 孝(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 八尾 建史(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 篠崎 慶介(福岡大学 筑紫病院 外科), 石橋 由紀子(福岡大学 筑紫病院 外科), 関 克典(福岡大学 筑紫病院 外科), 二見 喜太郎(福岡大学 筑紫病院 外科), 田邉 寛(福岡大学 筑紫病院 病理), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理)
抄録 症例は50代、男性。職場検診での胃透視検査にて胃体中部後壁の陰影欠損を指摘され、当科を受診した。上部消化管内視鏡及び胃X線検査にて体部優位の萎縮粘膜を背景に13mm大の粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め、噴門部から胃角部にかけては小隆起が多発しておりA型胃炎に合併した胃カルチノイド腫瘍が疑われた。血清ガストリン値は420 pg/mlと高値であったが、抗胃壁抗体は陰性であった。CT・US上は明らかなリンパ節転移、遠隔転移は認めなかった。生検で確定診断に至らなかったため、病理診断目的で内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理学的診断は胃カルチノイド腫瘍であり、腫瘍の周囲粘膜は萎縮性胃炎の像を呈していた。また萎縮粘膜にはmicro nestが認められた。以上の所見より、A型胃炎に合併した胃カルチノイド腫瘍と診断した。固定標本上の腫瘍径は7.8mmで、一部sm浸潤を認めた。脈管浸襲(ly1, v1)を伴ったため、リンパ節郭清を含めた胃全摘術を施行した。その結果、郭清リンパ節の内、一個(No.3)に転移が認められた。近年、胃カルチノイド腫瘍に対する治療方針として内視鏡治療、幽門部切除、リンパ節郭清を含む胃全摘出術と大別されているが、その選択基準は確立していない。10mm以下の胃カルチノイド腫瘍にリンパ節転移が認められた症例を経験したため、診断と治療に関して文献的考察も含め報告する。
索引用語 胃カルチノイド腫瘍, A型胃炎