セッション情報 | ワークショップ2 |
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タイトル | W2-06:共焦点内視鏡を用いた胃癌のリアルタイム画像診断 |
演者 | 掛地 吉弘(九州大学大学院消化器・総合外科) |
共同演者 | 芝原 幸太郎(九州大学大学院消化器・総合外科), 沖 英次(九州大学大学院消化器・総合外科), 定永 倫明(九州大学大学院消化器・総合外科), 森田 勝(九州大学大学院消化器・総合外科), 田上 和夫(九州大学病院先端医工学診療部), 橋爪 誠(九州大学病院先端医工学診療部), 前原 喜彦(九州大学大学院消化器・総合外科) |
抄録 | 【目的】1000倍の拡大率で、消化管粘膜を細胞レベルで観察できる共焦点内視鏡を用いて、胃癌のリアルタイム画像診断を試みた。【方法】本研究に用いた共焦点内視鏡はOptiscan Imaging社(VIC, Australia)とPentax社が共同開発し、通常内視鏡の光学観察部と共焦点レーザー内視鏡装置が一体化している。観察画像の解像度を下げることなく、共焦点光学系を小型・細径化して先端に組み込み、内視鏡検査中に通常の内視鏡画像と共焦点画像を併行して見ることができる。蛍光色素の局所散布による粘膜観察を行った。核と細胞質が明確に区別でき、画像解析ソフト(Scion image)を用いて個々の細胞の核の大きさを面積で算出し、100個以上の細胞で計測して正常組織と癌組織を比較した。【結果】1)切除標本での観察:胃癌27例の切除標本の粘膜に蛍光色素のacriflavineを局所散布して細胞核を染め、共焦点内視鏡で観察した。全症例中18例(67%)が統計学的に有意な差をもって、癌細胞の核が正常細胞の核よりも大きかった。分化度が高いほど癌細胞の核が正常細胞の核よりも有意に大きくなる傾向がみられた。低分化型胃癌の核は正常細胞の核に比べて面積の差が少なかった。2) 生体内での観察:上部消化管内視鏡を胃癌5症例に行い、蛍光色素のfluoresceinを静注して、胃および食道粘膜の観察を行った。fluoresceinは毛細血管から漏出し、細胞膜が染まり、細胞レベルでの観察が可能であった。正常粘膜部では整った腺管構造が認められ、個々の細胞の描出も鮮やかであるが、癌部では組織構築の破壊が認められ、毛細血管からの蛍光色素の漏出も多く未熟な血管新生が盛んであることが示唆された。【結語】共焦点内視鏡を用いてリアルタイムに粘膜細胞の観察が可能であった。細胞核の面積を画像解析することにより、過半数の症例で正常粘膜細胞と癌細胞を区別することができた。生検での病理診断はあくまでGold Standardであるが、内視鏡で観察した時点でリアルタイムに良悪性の診断がつき、即時に内視鏡的粘膜切除などの治療に移れる可能性も示唆された。 |
索引用語 | 共焦点内視鏡, 画像診断 |