セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 15:消化管転移をきたした肺癌の2例 |
演者 | 岡本 康治(九州大学大学院 病態機能内科学) |
共同演者 | 松本 主之(九州大学大学院 病態機能内科学), 平野 敦士(九州大学大学院 病態機能内科学), 矢田 親一朗(九州大学大学院 病態機能内科学), 江崎 幹宏(九州大学大学院 病態機能内科学), 工藤 哲司(九州大学大学院 病態機能内科学), 具嶋 正樹(同 形態機能病理学), 八尾 隆史(同 形態機能病理学), 原田 大志(同 胸部疾患研究施設), 掛地 吉弘(同 消化器・総合外科), 吉野 一郎(同 消化器・総合外科), 飯田 三雄(九州大学大学院 病態機能内科学) |
抄録 | (背景)近年肺癌の罹患率が上昇しているが肺癌は他臓器原発の癌に比して早期より遠隔転移をきたしやすく、治療において転移巣のコントロールも重要である。消化管への遠隔転移は肝、腎、脳への遠隔転移に次いで頻度が高いとされ、出血、腸閉塞などの合併症を起こし得ることから注意を要する。今回我々は肺癌の治療経過中に消化管転移をきたした2例を経験したので報告する。(症例1)56歳、男性。2005年7月に当院胸部疾患研究施設にて右上葉肺癌(腺癌T2N3M1,LYM,ADR,stageIV)と診断され化学療法施行。その後髄膜播種をきたし髄腔内化学療法、放射線全脳照射施行された後、再度化学療法をうけていた。2007年2月に食欲不振のため当科にて上部消化管内視鏡を施行、胃前庭部前壁に粘膜下腫瘍様に隆起した病変を認め、EUSでは第3層から第4層に占める低エコー腫瘤として描出された。同部からの生検で肺癌からの転移性腫瘍と診断。経口小腸造影、大腸内視鏡ではその他の消化管転移を疑わせる所見はみられず、全身状態を考慮すると消化管病変は生命予後に寄与しないと考えられ無治療で経過観察とした。(症例2)72歳、男性。2006年11月に右下葉肺癌(腺癌 T2N2M0,stageIIIA)と診断され、12月に当院消化器・総合外科にて右肺下葉切除術を施行。以後TS-1による化学療法を開始され経過観察されていたが、2007年2月に黒色便及び急激に進行する貧血の精査のため当科紹介となった。ゾンデ法小腸造影にて口側より7mm大(A)、10mm大(B)、30mm大(C)の計3個隆起性病変を認め、(C)の病変を先進部とした間歇的な腸重積がみられた。経口的、経肛門的ダブルバルーン式小腸内視鏡では(A)と思われる粘膜下腫瘍様病変、(B)と思われる凝血塊の付着した隆起性病変を認め、生検で肺癌からの転移性腫瘍と診断。(C)の病変にはアプローチできなかった。PETにて副腎、骨などにも転移が疑われたが、出血、腸重積の予防のため姑息的な手術療法の適応と考えられ小腸部分切除術を施行した。 |
索引用語 | 肺癌, 消化管転移 |