セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 93:難治性クローン病に対する在宅中心静脈栄養療法(HPN)中に静脈内血栓を形成した3例 |
演者 | 別府 孝浩(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
共同演者 | 中村 守(福岡大学筑紫病院 消化器科), 青見 賢明(福岡大学筑紫病院 消化器科), 久部 高司(福岡大学筑紫病院 消化器科), 長浜 孝(福岡大学筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科) |
抄録 | HPN長期使用例の合併症でカテーテル感染、閉塞やdislocation、敗血症、代謝合併症などの報告があるが、静脈内血栓形成に関しては報告を見ない。HPNにより静脈内血栓を形成したクローン病の3例を経験し得たので報告する。症例1は28歳女性、13歳発症 (小腸大腸型)。平成14年4月に肛門周囲膿瘍と大腸病変の増悪に対し左鎖骨下からIVHポート植え込み術施行。平成19年1月原疾患の増悪を来たし、外科手術の適応。術前心エコーでIVHカテーテル先端右房内に2cm大の血栓を指摘され、肺高血圧合併も認めた。血栓溶解療法後肺高血圧は軽減傾向、その後大腸亜全摘と回腸人工肛門造設術施行。術後カテーテル先端の血栓は縮小を認めIVHポート抜去。その際肺梗塞を合併したが血栓溶解療法で軽快傾向にある。症例2は30歳女性、17歳発症 (小腸大腸型)。回腸人工肛門造設後。脱水傾向と難治性腸管皮膚瘻を認める為、平成17年9月体外式IVHポートを右鎖骨下静脈に留置。平成19年1月から発熱あり、ポート抜去し抗生剤の投与受けるも発熱は持続し、前胸部圧迫感、顔面浮腫も出現。CTで上大静脈に血栓形成、腕頭静脈に血管炎、頚部蜂窩織炎、縦隔炎、両肺野に多発性結節病変認め敗血症性肺塞栓の合併も認めた。血栓溶解療法、抗凝固療法を受け炎症の改善を認めたが、上大静脈の血栓は残存し抗凝固療法継続中である。症例3は41歳男性、21歳発症 (小腸大腸型)。6回の手術歴あり残存小腸135cm。S状結腸人工肛門造設術後。平成14年4月肛門病変高度でIVHポート植え込み術施行。平成17年1月に体重増加、上半身浮腫、6月から著明な顔面浮腫出現。7月中旬に滴下不良、ポート周囲腫脹みられポート閉塞で抜去。MRIにて腕頭静脈内に血栓形成あり抗凝固療法開始。10月血管造影検査にて両鎖骨下静脈の完全閉塞所見あり、平成18年4月に右大腿静脈からIVHポート植え込み受けた。長期HPNでは血栓形成や感染により重篤な合併症をもたらす可能性あり、ポート留置に伴い消化管病変とバランスを図りながら抗凝固療法を併用する必要があることが示唆された。 |
索引用語 | 炎症性腸疾患, 在宅中心静脈栄養療法 |