セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-27:

保存的治療後に急性閉塞性化膿性胆管炎に移行した総胆管結石症の一例

演者 村岡 邦秀(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大谷 圭介(福岡大学筑紫病院 消化器科), 藤村 成仁(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院 消化器科), 光安 智子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院 消化器科)
抄録 症例は91歳、女性。平成18年12月に総胆管結石症を指摘されていたが放置していた。平成19年1月、39℃の発熱と心窩部痛を認め、近医で抗生剤の点滴静注による保存的治療が施行されたが、2日後に意識障害が出現し、血圧が76/40 mmHgとショック状態になったため当科に緊急入院となった。血液生化学検査ではWBC 6000 /mm3、CRP (6+)、T.Bil 2.2 mg/dL、AST 169 IU/L、ALT 43 IU/L、ALP 1668 IU/L、γGTP 518 IU/Lで、炎症反応と肝胆道系酵素の上昇を認めた。PTは68%と低下していた。総胆管結石による急性閉塞性化膿性胆管炎と診断し、緊急ERCを施行した。十二指腸内視鏡検査ではPapilla Vaterは腫大し、開口部に膿汁が付着していた。ERCでは総胆管内には径20mmの結石を認めた。胆汁を採取後、ERBD tubeを留置した。胆汁培養では大腸菌・腸球菌・肺炎桿菌が検出された。その後炎症所見は改善し、肝胆道系酵素は低下し、全身状態も改善したため、第6病日に内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行した。第10病日に機械的破砕術後にバスケットカテーテルで截石し、第17病日に退院した。本症例は2005年に発表された「急性胆管炎の診療ガイドライン」の重症度分類では重症急性胆管炎であった。急性胆管炎発症時、抗生剤の全身投与による保存的治療が施行されたが、重症急性胆管炎に移行した。近年内視鏡的処置の進歩で急性胆管炎の死亡率は著明に改善したが、未だ救命できない症例も存在する。急性胆管炎を保存的に治療した場合の死亡率が80%以上との報告もあり、胆道ドレナージは極めて重要である。今回保存的治療後、重症急性胆管炎に移行し、胆道ドレナージにより救命できた症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。
索引用語 総胆管結石, 急性閉塞性化膿性胆管炎