セッション情報 一般演題

タイトル 260:

インターフェロン療法中に肺炎球菌による敗血症を発症した脾摘後慢性C型肝炎の一例

演者 岡村 修祐(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座)
共同演者 酒井 輝文(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座), 佐田 通夫(久留米大学医学部 消化器内科学講座), 吉貝 浩史(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座), 住江 博明(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座), 成田 高三郎(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座), 辛島 卓(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座), 前山 泰彦(聖マリア病院 消化器内科DELIMITER久留米大学医学部 消化器内科学講座), 檜垣 浩一(聖マリア病院 病理部)
抄録 【はじめに】脾摘後に発症する劇症型感染症(OPSI:overwhelming postsplenectomy infection)は近年救急領域で注目されているが、一般的には知識の浸透に乏しいのが現状である。脾摘後20~30年後に発症することもあり、また進行は急激で死の転帰を辿ることが多い。今回我々は、インターフェロン療法中に肺炎球菌による劇症型敗血症を発症した脾摘後慢性C型肝炎の一例を経験したため考察を含めここに報告する。【症例】61歳女性、交通外傷による脾損傷に対して脾摘術の既往があり、今回は慢性C型肝炎に対し、ペグインターフェロンα-2b・リバビリン併用療法にて外来加療中であった。突然の発熱・悪寒・下痢を主訴に当院救急外来を受診され、高熱を認めてはいたが、炎症反応に乏しく、DICも否定できないが、インターフェロンによる影響とも考えられる白血球・血小板減少を認めていた。その数時間後に突然の心室細動、呼吸停止状態となり、血液検査で急激なDICの進行・多臓器不全の所見を認めており、蘇生処置に反応せず死の転帰を辿った。後日血液培養から肺炎球菌が検出され、また剖検で脳・心・肺・肝・腎等全身の臓器より肺炎球菌の増殖が確認され、劇的な経過を辿る肺炎球菌による敗血症のOPSIと考えられた。【考察】脾摘から本症発症までは、約2週間後の早期より約60年後の報告もあり、特徴として急激な経過と高い死亡率が挙げられる。初発症状は、発熱・頭痛・下痢・倦怠感・嘔気・悪寒等であり前駆症状は軽微であるため発症時は軽視されることが多く数時間後に急激に敗血症性ショックに陥り、多臓器不全・DIC等が前面化し死の転帰を辿ることが多い。救命率向上のためには知識の浸透と迅速な診断・治療はもちろん、肺炎球菌ワクチン投与による予防策が重要であると考えられた。【結語】インターフェロン療法による免疫力低下を機に発症したOPSIの一例を経験した。脾摘の適応の厳密化や肺炎球菌ワクチン接種の徹底の必要性、また脾摘患者へインターフェロン療法を行う際は、肺炎球菌ワクチン接種を徹底する必要があることを痛感させられた一例であった。
索引用語 脾摘, 肺炎球菌