セッション情報 一般演題

タイトル 67:

腺腫から発生したと思われる進行小腸癌の一例

演者 平野 敦士(九州大学大学院 病態機能内科学)
共同演者 松本 主之(九州大学大学院 病態機能内科学), 江崎 幹宏(九州大学大学院 病態機能内科学), 古賀 秀樹(九州大学大学院 病態機能内科学), 矢田 親一朗(九州大学大学院 病態機能内科学), 具嶋 正樹(同 形態機能病理学), 八尾 隆史(同 形態機能病理学), 植木 隆(同 臨床腫瘍外科), 北野 亀三郎(北野クリニック), 飯田 三雄(九州大学大学院 病態機能内科学)
抄録 症例は87歳女性。2006年9月頃より食後の上腹部痛が出現。同症状は持続し、約半年で8kgの体重減少を認めたため2007年1月に北野クリニックを受診。腹部超音波検査にて小腸腫瘤が疑われ、精査加療目的で同年2月当科紹介入院となった。入院後施行したゾンデ法小腸X線検査では、上部空腸に管腔狭小化を伴う全周性の陰影欠損を認め、病変口側には微細顆粒状扁平隆起を伴っていた。次に経口的ダブルバルーン式小腸内視鏡を施行したろころ、同腫瘤は口側に褪色調微細顆粒状の扁平隆起を伴い、中心部で粗大結節状隆起を形成した全周性隆起性病変として観察された。なお、病変中心部の狭窄のためスコープは病変肛門側へ通過しなかった。病変中心部からの生検では中等度~高度異型を有する腺管絨毛腺種との診断であったが、画像所見より浸潤癌が強く疑われた。諸検査にて明らかな転移みられなかったため、当院臨床腫瘍外科にて腹腔鏡下小腸部分切除術を施行した。術中所見においては、同腫瘍はTreitz靭帯より約50cm肛門側に位置する5cm大の腫瘤性病変として観察され、一部に潰瘍形成を伴っていたが漿膜側への浸潤は明らかではなかった。切除標本の病理組織学的検査では病変は腺管絨毛腺種成分を伴った高分化型腺癌で、大腸癌取り扱い規約に準じるとtub1,MP,ly0,v1,n0であった。原発性小腸癌は小腸内視鏡の進歩に伴い報告例が増加しつつあるが消化管悪性腫瘍としては稀である。加えて、本例は腺種からの癌化が示唆された貴重な症例と考えられ今回報告する。
索引用語 原発性小腸癌, 腺腫