セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告1

タイトル 消P-733:

兵庫県におけるE型肝炎感染実態調査

演者 北嶋 直人(市立加西病院・内科)
共同演者 蓬莱 亞矢(市立加西病院・内科), 高取 健人(市立加西病院・内科), 佐竹 信哉(市立加西病院・内科), 大瀬 貴之(市立加西病院・内科), 新井 雅裕(東芝病院・研究部), 瀬尾 靖(神戸大・消化器内科), 東 健(神戸大・消化器内科), 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター・消化器内科), 山下 幸政(神戸市立医療センター西市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】E型肝炎ウイルス(HEV)における国内固有株の存在が見いだされ、E型肝炎が単なる輸入感染症ではないと認識されてから早10年が経過したが、その感染実態は不明な点が多い。そこで、兵庫県におけるE型肝炎の感染状況、臨床像および感染ルートを明らかにする目的で感染実態調査を行った。【方法】期間:平成20年4月~平成23年3月。兵庫県内の32病院において、成因不明の急性肝炎症例を登録して臨床的検討を行った。血清を集積して、HEV抗体(IgG, IgA, IgM)、HEVRNAおよび2-5A合成酵素活性を測定した。E 型肝炎と診断された症例に対して、疫学的検討を加えた。【成績】3年間で108症例が登録され、このうち 3例(2.8%)がE型急性肝炎であった。1例は中国からの輸入感染例(Genotype 4:中国株)で、食肉からの感染が疑われた。残りの2例は国内感染例(HEVが同定できた1例はGenotype 3)であったが、詳細な問診でも感染経路を特定できなかった。3例とも、保存的治療のみで軽快した。IgG抗体単独陽性例は8例(7.4%)であった。2-5A合成酵素活性が基準値の100 pmol/dlを超えている症例を105例中44例(41.9%)に認めた。【考案】兵庫県における成因不明の急性肝炎症例の中でE型肝炎は3例(2.8%)と稀であり、しかもそのうち1例は輸入感染例であった。以前から高率な感染率が報告されている北海道とは対照的である。感染既往と考えられるIgG抗体単独陽性例は7.4%で、健診受診者を対象とした全国調査での5.3%と同等であった。E型肝炎を含めた既知の病因が否定された成因不明例の中にも2-5A合成酵素活性高値例がみられ、未知の肝炎ウイルスの存在を示唆された。【結語】兵庫県における成因不明の急性肝炎症例の中で、E型肝炎が占める割合は極めて低率であった。
索引用語 E型肝炎, 急性肝炎