共同演者 |
新名 雄介(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 崎山 裕美子(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 岩佐 勉(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 吉本 剛志(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 武元 良祐(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 西 秀博(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 宮原 稔彦(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 福泉 公仁隆(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 原田 直彦(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 中牟田 誠(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 和田 幸之(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 高見 裕子(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 才津 秀樹(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 桃崎 征也(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター), 上杉 憲子(国立病院機構 九州医療センター 肝臓病センター) |
抄録 |
症例 :61歳、男性。主訴 :黄疸、皮膚掻痒感。生活歴:飲酒;日本酒3合/日。喫煙;なし。アレルギーなし。既往歴:45歳:糖尿病。家族歴:特記事項なし。現病歴:平成18年2月より腹部膨満感が出現、3月に入り下肢の浮腫も出現し糸島急患センターを受診、利尿剤投与されるも改善なく当科紹介。アルコール性肝硬変、腹水、多発性肝腫瘍(肝血管腫疑い)、食道静脈瘤、2型糖尿病と診断、食事療法、利尿剤投与を行い軽快退院となった。禁酒していたが胆道系酵素の上昇が認められ平成18年7月7日黄疸が出現し再入院となる。現症:脈拍:91/分、整、血圧:121/54 mmHg、頭頚部;眼瞼結膜:貧血なし、眼球結膜:黄疸あり、胸部;心音、呼吸音異常所見なし、腹部; 膨隆、軟。 肝脾触知せず。圧痛なし。検査所見:血液検査所見;T bil 7.7 mg/dl,AST 35 U/l,ALT 25 U/l,ALP 839 U/l,γ-GTP 139 U/l、PT 49%,Plt 7.2 ×104/μl,腫瘍マーカー;DUPAN-2 1100 U/ml。腹部エコー;S6に境界不明瞭な高エコー、低エコーの混在した95mm大の腫瘤を認める。S8にも74mm大の高エコーを呈する腫瘤を認め、その他、両葉に数個腫瘤を認めている。腹部CT;肝両葉に多発する腫瘤は前回(H18.3.16)よりサイズ、数ともに増大している。肝右葉S6/7に約10cm大の腫瘤を認め、周囲が不整に早期濃染され平衡相にてwashoutされ、内部は遅延相にて増強効果を認める。腹部MRI;肝後区域を占める約10cm大の腫瘤はT1強彫像で低信号を呈し、内部に血性成分と思われる高信号が混在。T2強調像では高信号を呈し、内部に低信号部分の混在を認める。Dynamic studyでは早期に辺縁にenhannceを認め、内部に拡張した血管様構造を認める。後期相でも内部の濃染は乏しく、辺縁を中心に遷延性に濃染されている部分を認める。入院後経過:平成18年3月に肝腫瘍の精査を行ったが、肝予備能の低下から腫瘍生検、血管造影は施行できず確定診断には至らなかった。その後、腫瘍の増大、肝予備能の低下を認め、食道静脈瘤の破裂により永眠された。剖検により病理組織所見から肝原発の血管肉腫と診断された。考察:生前には確定診断に至らず、剖検により肝血管肉腫と診断された一例を経験したので、文献的考察を加え報告する。 |