セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-09:

ダブルバルーン小腸内視鏡で切除しえた空腸lipomaの1例

演者 村上 一索(福岡大学筑紫病院消化器科)
共同演者 別府 孝浩(福岡大学筑紫病院消化器科), 長浜 孝(福岡大学筑紫病院消化器科), 戸原 恵二(福岡大学筑紫病院消化器科), 八尾 建史(福岡大学筑紫病院消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科), 西俣 伸亮(福岡大学筑紫病院病理部), 岩下 明徳(福岡大学筑紫病院病理部), 中島 力哉(福岡大学筑紫病院放射線科)
抄録 ダブルバルーン小腸内視鏡を用い、内視鏡的に切除しえた空腸lipomaを経験したので報告する。症例:80歳台、女性。主訴:空腹時心窩部痛、腹部膨満感、胸焼け。現病歴:2000年頃から、胸焼け、食後の腹部膨満感・腹痛を自覚するようになった。2006年28日、心窩部痛・便秘を主訴に近医を受診し、腹部超音波検査にて小腸に異常を指摘され、他医を紹介された。同院でゾンデ法小腸造影を施行され、小腸腫瘍と診断され、手術を勧められた。治療法に関してsecond opinion目的で2007年1月10日、福岡大学筑紫病院消化器科を受診し、精査治療目的で1月27日入院となった。入院時現症、眼瞼結膜に貧血を認め、入院時一般検査所見でHb 10.2 g/dlと正球性正色素性貧血を認めた。ゾンデ法小腸二重造影を施行したところTreitz靱帯からすぐ肛門側に5.0 cm X 1.5 cm大の表面平滑で正常の小腸粘膜で覆われた粘膜下腫瘍を認めた。圧迫で頭部が硬く、頂部にびらんや浅い潰瘍を認めた。腹部CTで、空腸腫瘍のCT値が脂肪と同じであることから空腸脂肪腫と診断した。飲水法を併用した体外式腹部超音波検査で、空腸の腫瘍は内部が均一な高エコーを呈する腫瘍として描出され、ドップラーで血流に乏しい所見であった。ポリペクトミー目的で、ダブルバルーン小腸内視鏡を施行した。空腸腫瘍は、立ち上がりは急峻であるが正常小腸粘膜に覆われており、頂部に浅い潰瘍と、びらんを認めた。同時に施行した超音波内視鏡で、腫瘍は均一な高エコー腫瘤を呈し、基部の粘膜下層に腫瘍像を認めなかったため、ポリペクトミーを施行した。切除標本の割面は黄色で、病理組織学的にも脂肪腫と診断された。腫瘍の頂部には、びらん・潰瘍による線維化を合併していた。術中・術後合併症を認めず、切除2日後から経口摂取を開始し、術後8日後に退院した。術後より腹痛などの臨床症状は消失した。術前に空腸脂肪腫と診断し、ダブルバルーン小腸内視鏡によるポリペクトミーで非侵襲的治療が可能であった例は、報告が少なく、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 ダブルバルーン小腸内視鏡, 内視鏡治療