セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 187:妊娠中に発症・増大した膵原発ソマトスタチノーマに対し動注化学療法を施行した一例 |
演者 | 六倉 和生(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科) |
共同演者 | 本吉 康英(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 木下 直江(長崎大学医学部・歯学部附属病院病理部), 柴田 英貴(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 三馬 聡(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 秋山 祖久(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 楠本 浩一郎(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 藤本 真澄(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 川下 浩(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 宮明 寿光(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 市川 辰樹(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 坂本 一郎(長崎大学医学部・歯学部附属病院放射線科), 林 徳真吉(長崎大学医学部・歯学部附属病院病理部), 中尾 一彦(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科), 江口 勝美(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科) |
抄録 | 症例は26歳女性。2005年12月30日、腹痛と吐き気を主訴に近医を受診、妊娠反応陽性を指摘された。そのまま経過観察されたが腹痛が続き急性膵炎を疑われ、2006年1月4日当科を受診したが、血液検査・腹部エコーで異常所見を認めず前医で経過観察されていた。その後妊娠経過は順調であったが、食後に腹痛が見られていた。8月28日第一子女児を出産。その後下痢が見られるようになった。産後1ヶ月検診の際、黄疸、肝機能異常、貧血を指摘され、また腹部エコーで膵腫瘍が疑われたため当科紹介入院となった。腹部造影CTで、早期造影効果を伴う膵頭部に約3cm、膵体部に約5cmの腫瘤を認め、多発肝転移、リンパ節転移も認められた。腫瘍マーカーはCEA、CA19-9、DUPAN-2、Span-1、CA50、NSE、PIVKA-IIの上昇を認めた。肝腫瘍生検を実施し、免疫組織学的に、chromograninA、synaptophysin、somatostatin陽性を認め、また血中ソマトスタチン濃度が3300pg/mlと高値を認めたことから、膵原発ソマトスタチノーマと診断した。しかしながら、CEA高値から膵管と内分泌細胞の両者に分化傾向を示す腫瘍の可能性が考えられた。そこで我々は3週間を1クールとするTS-1内服(80mg/day、Day 1-14)とゲムシタビン膵・肝動注化学療法(1200mg、day1, 8)を実施した。その結果、原発巣と転移巣の縮小を認め、治療開始後6ヶ月現在6クールを終えPR持続中である。膵内分泌腫瘍は一般に緩除に発育し無症状で経過する症例も多いが、本症例は26歳という若年で発症し、妊娠・分娩期に急速増大、転移した稀な症例である。TS-1+ゲムシタビン動注化学療法を実施し、有意な腫瘍縮小を得た。臨床的に貴重かつ稀な症例であるため報告する。 |
索引用語 | ソマトスタチノーマ, 動注化学療法 |