セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | 研-32:ラミブジン投与により肝予備能が改善し、肝癌治療が施行できたChild C B型肝硬変の一例 |
演者 | 荻野 展永(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学分野) |
共同演者 | 永田 賢治(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学分野), 中村 憲一(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学分野), 楠元 寿典(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学分野), 蓮池 悟(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学分野), 下田 和哉(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学分野), 林 克裕(宮崎大学 医学部 医学教育改革推進センター), 駒田 直人(藤元早鈴病院) |
抄録 | 今回我々は、ラミブジン投与により肝予備能が改善し、HCCに対して肝動脈化学塞栓術が施行できた非代償性肝硬変の一例を経験したので報告する。症例は56歳、男性。1996年検診で肝障害を指摘され、近医を受診、B型慢性肝炎と診断されたが、定期通院を自己中止していた。2005年11月頃より腹部膨満感、下腿浮腫、体重増加(7-8kg)が出現し、近医を受診、黄疸、腹水貯留を指摘され、肝硬変を疑われ、他院を紹介受診した。同院での腹部エコー検査にて肝S6に腫瘤性病変を認めたため精査目的に当科を紹介受診した。身体所見には特に異常所見なし。腹部エコーでは肝周囲に少量の腹水を認め、肝S6下端に20mm大の高エコーと低エコーの混在する腫瘤を認めた。この腫瘤は腹部CTでは動脈相で淡く染まり、門脈相では低吸収を呈した。MRIではT2WIで淡く高信号を呈し、Gdにて早期相で濃染された。血液検査ではAlb 2.0 g/dl、T-Bil 5.0 mg/dl、D-Bil 3.3 mg/dl、AST 66 IU/l、ALT 51 IU/l、Plt 7.2万、PT 40%、HBsAg(+)、HBeAg(+)、HBeAb(+)、HBV-DNA 6.3 LGE/ml、AFP 208 ng/mlと肝予備能の低下とHBVマーカー陽性を認め、AFP高値および画像所見より、非代償性肝硬変に伴うHCCと診断した。肝予備能が不良のため、ラミブジンを開始した。以後徐々に肝予備能の改善みられ、4月にはAlb 2.5 g/dl、T-Bil 3.0 mg/dl、D-Bil 0.8 mg/dl、AST 59 IU/l、ALT 35 IU/l、PT 52%、HBV-DNA 5.0 LGE/ml、AFP 712ng/mlとなり、5月に肝動脈化学塞栓療法を施行した。治療による肝不全はみられず、その後も肝予備能は改善傾向を示し、本年3月にはAlb 4.1 g/dl、T-Bil 2.2 mg/dl、AST 30 IU/l、ALT 20 IU/l、Plt 6.0万、PT 74%、HBV-DNA <2.6 LGE/ml まで改善がみられ、HCCの再発もみられていない。HCCを伴う非代償性肝硬変に対する抗ウイルス剤の有用性について当院での肝硬変症例での検討および文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | ラミブジン, 非代償性肝硬変 |