セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告2

タイトル 消P-735:

兄妹発症したWilson病の1例

演者 伊佐治 亮平(江南厚生病院・消化器内科)
共同演者 堤 靖彦(江南厚生病院・消化器内科), 佐々木 洋治(江南厚生病院・消化器内科), 吉田 大介(江南厚生病院・消化器内科), 古田 武久(江南厚生病院・消化器内科), 小林 健一(江南厚生病院・消化器内科), 小宮山 琢真(江南厚生病院・消化器内科), 颯田 祐介(江南厚生病院・消化器内科), 丸川 高弘(江南厚生病院・消化器内科), 伊藤 信仁(江南厚生病院・消化器内科), 酒井 大輔(江南厚生病院・消化器内科)
抄録 今回、我々は兄妹発症したWilson病の症例を経験したので報告する。症例1は35歳男性。平成20年頃から手の震えがあり、近医を受診、本態性振戦と診断され、内服治療が行われていた。その後も症状が続くため当院受診、精査にて肝硬変所見を認めたため、平成22年7月に当科紹介入院となった。現症は、四肢に粗大振戦を認めたが、肝脾は触知しなかった。入院時検査成績では、胆道系酵素上昇を認め、血清銅・セルロプラスミンの低下、尿中銅排泄増加を認めた。腹部エコー検査、腹部CT検査所見では肝硬変の所見を認めた。眼科的所見では、Kayser-Fleisher輪とひまわり白内障を認めた。肝生検病理組織検査では、肝硬変所見、鉄の沈着、銅の沈着を認めた。以上からWilson病と診断、治療としては銅制限食の指導と、Dペニシラミン内服にて治療を行い、神経症状の改善は認めていないが、現在のところ状態は安定している。症例2は32歳女性。平成22年4月頃から下腹部膨満感を認めていた。6月頃から全身倦怠感、食欲低下、皮膚掻痒感も認めるようになり近医受診、肝機能障害を認め7月に当院紹介入院となった。現症は、腹部にて肝を2横指触知、脾を1横指触知し、眼球結膜に黄疸を認めたが、振戦は認めなかった。入院時検査成績では、ビリルビン上昇、肝胆道系酵素上昇を認め、セルロプラスミンの低下、凝固異常、尿中銅排泄増加を認めた。腹部エコー検査、腹部CT検査所見では肝硬変の所見を認めた。眼科的所見では、Kayser-Fleisher輪を認めた。肝生検病理組織検査では、肝硬変所見、銅の沈着を認めた。以上からWilson病と診断、治療としては銅制限食の指導と、Dペニシラミン内服にて治療を行い、肝機能障害は改善傾向であり、現在のところ状態は安定している。2人の家族歴では、血族婚はなく、Wilson病発病者も認めなかった。本症例は、比較的稀な症例と考えられ、若干の文献的考察と分子遺伝学的診断も加え報告する。
索引用語 Wilson病, 兄妹発症