セッション情報 ワークショップ2

タイトル W2-07:

十二指腸乳頭部腫瘍における超音波内視鏡(EUS)の有用性の検討

演者 久保 宏明(九州大学 医学部 病態制御内科)
共同演者 板場 壮一(九州大学 医学部 病態制御内科), 中村 和彦(九州大学 医学部 病態制御内科)
抄録 [目的]超音波内視鏡(EUS)による十二指腸乳頭部腫瘍の進展度およびリンパ節転移に対する診断能を評価する。[対象と方法]1988年2月から2006年1月までEUSを施行され、手術により病理学的検討ができた十二指腸乳頭部腫瘍52例を対象とした(内訳は癌44例、腺腫8例。肉眼的形態は、露出腫瘤型30例、非露出腫瘤型4例、潰瘍型18例 )。EUSにて腫瘍の進展度診断(十二指腸浸潤、膵臓浸潤)とリンパ節転移診断能について検討を行った。なお十二指腸浸潤についてはDu0,1とDu2,3に分け前者を浸潤陰性、後者を陽性とした。[結果]1)98%(51/52)の症例においてEUSで腫瘍を描出できた。2)十二指腸浸潤に対しEUSの正診率は67%(35/52)で、Du0,1に対しては57%(16/28)、Du2,3に対して79%(19/24)であった。EUSにて十二指腸浸潤を判定できず、誤診となった5例はすべてDu0,1の腫瘍であった。3)膵臓浸潤に対しEUSの正診率は79%(41/52)であった。4)リンパ節診断に対しEUSの正診率は65%(34/52)であった。5)正診率に関係する因子として、露出腫瘤型は非露出腫瘤型や潰瘍型に比べ正診率が高い傾向にあり、また総胆管が10mm以上拡張している群は拡張していない群に比べ正診率が高かった。[結語]EUSは十二指腸乳頭部腫瘍の予後を左右する膵臓浸潤に対しては良好な診断能を有していたが、十二指腸浸潤(特にDu0,1)については良好な診断能とは言えず内視鏡的乳頭切除術の適応決定に対しては十分な検査とは言い難い。
索引用語 EUS, 十二指腸乳頭部腫瘍