セッション情報 一般演題

タイトル 206:

誘因の明らかでない肝被膜下血腫の1例

演者 高木 浩史(甘木朝倉医師会病院 内科)
共同演者 馬場 真二(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 實藤 俊昭(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 田口 順(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 梶原 雅彦(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 石井 邦英(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 安倍 弘彦(甘木朝倉医師会病院 内科), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
抄録 症例は70歳女性.平成19年1月27日,突然の心窩部痛にて発症の後,右肩から右側胸部,右側腹部の疼痛が出現し,近医受診となる.腹部US, 腹部造影CTにて肝右葉被膜下に,fluid collectionを認め,貧血の進行も認め肝損傷を疑われ,平成19年2月13日当科紹介入院となる.入院後の腹部USでは,肝右葉周囲に不整形のecho free spaceを認めた.腹部造影CTおよび腹部MRIでは,肝右葉被膜下に血腫と思われるfluid collectionを認めた.貧血もあり,肝被膜下血腫と診断されたが,明らかな外傷の既往はなかった.強いて言えば,2日前に草刈り機を使って草刈りをしたことぐらいであった.また,出血傾向はなく,腹部血管造影でも,血管の異常や肝腫瘍は認めなかった.入院時は既に疼痛は軽減しており,保存的に経過をみたが,貧血の進行はみられず軽快退院となった.本症例は,出血傾向がなく,肝に血管の異常や腫瘍を認めないため,外傷性の被膜下血腫(Ia型,日本外傷学会肝損傷分類)と診断された.草刈り機の振動で肝損傷が起こるかどうかは疑問であるが,他に誘因は考えられず、啓蒙する上で貴重な症例と思われるので報告する.
索引用語 肝被膜下血腫, 肝損傷