セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告2

タイトル 消P-736:

キレート剤治療にて肝硬変が改善したが肝細胞癌を合併したWilson病の1例

演者 池川 俊太郎(愛媛県立中央病院)
共同演者 平岡 淳(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 日高 聡(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 清水 祐宏(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 宇都宮 大貴(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 田鶴谷 奈友(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 一柳 美紗(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 田邉 敦資(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 中原 弘雅(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 谷平 哲哉(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 長谷部 昌(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 宮本 安尚(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 二宮 朋之(愛媛県立中央病院・消化器病センター), 道尭 浩二郎(愛媛県立中央病院・消化器病センター)
抄録 症例は37歳男性。 弟がWilson病。平成13年11月検診にて肝機能異常を指摘され当科受診、受診時の肝機能は正常であったがセルロプラスミン2.3 mg/dl、血清銅47μg/dl、尿中銅1643μg/日であった。Kayser-Fleischer輪がみられ、肝生検では肝硬変であった。Wilson病による肝硬変と診断。以後、D-ペニシラミンにて治療。腹部超音波検査で再生結節と思われる1cm程度の低エコー域が多発。平成21年2月AFPの上昇を指摘され、腹部dynamic CTでは門脈相でS7に1.1cmの血流低下がみられた。その後もフォローされていたが、平成22年4月EOB-MRIでS7に早期相で濃染し、肝細胞造影相でφ2cm大のdefectとなるSOLがみられ、同年5月入院した。AST 21IU/L、ALT 37IU/L、T-Bil 0.6mg/dl、Alb 4.3 g/dl、PT 80.4%、Plt29.9万、セルロプラスミン3.7 mg/dl、血清銅24μg/dl、尿中銅708μg/日、腫瘍マーカーはAFP14.3 ng/dl、AFP-L3 59.8%、PIVKA-II 266mAU/mlと増加。ソナゾイドによる造影腹部超音波検査ではS7腫瘍は早期相で濃染し、Kupffer相でdefectを呈した。S7にCTAPにて造影欠損、CTAにて強い造影効果がみられた。ラジオ波焼灼術(RFA)が施行され、焼灼良好で合併症はみられず退院。RFA時の肝生検で腫瘍は中分化型肝癌であった、また背景肝の線維化は改善し、肝硬変の所見は消失していた。その後、7ヶ月経過し肝細胞癌(HCC)の再発はみられていない。肝硬変に進展したWilson病であっても治療による肝硬変状態から改善しうることが示された。しかし本例ではHCCの発症がみられ、肝硬変に進展したWilson病は発癌リスクが高いことが推察された。
索引用語 Wilson病, 肝細胞癌