セッション情報 一般演題

タイトル 117:

早期食道癌のESD -治療成績・治療後経過の検討-

演者 貞元 洋二郎(北九州市立医療センター 消化器内科)
共同演者 奈須 俊史(北九州市立医療センター 消化器内科), 三澤 正(北九州市立医療センター 消化器内科), 原口 和大(北九州市立医療センター 消化器内科), 杣田 真一(北九州市立医療センター 消化器内科), 井原 裕二(北九州市立医療センター 消化器内科), 豊島 里志(同病理)
抄録 【背景】すでに早期胃癌に対するESDは安全かつ確実な治療法として確立した地位を得ている。しかし、食道病変に対するESDはその治療成績、合併症や長期予後については多数の報告は見られていない。【方法】当院では早期食道癌に対するESDの術前適応を、原則として周在性3分の2周以下で深達度EP、LPMとし、病理診断にて根治度を判定し追加治療を行っている。当院では2003年8月から2007年3月8日において、食道病変49例に対しESDを行った。その内訳は食道癌;45例、dysplasia;4例であった。【成績】全49病変中、切除不能でESDを中止した初期の3例(穿孔による呼吸状態の悪化;1例、線維化・深部浸潤による切除困難例;各1例)を除く46例全例に一括切除(93.9%(46/49))し得た。断端陽性となったのは導入初期の3症例で、側方burningによるLM(+)のものであった。3分の2周以下の切除となったのは46例中38例で、潰瘍治癒後の狭窄は来さなかったが、4分の3周切除となった6例中4例で、一部で全周切除となった2例中2例で術後狭窄をきたしバルン拡張術が必要であった。術後深達度pEPもしくはpLPMの症例は全例経過観察にて再発を認めていない。46例中2例でpMM、5例でpSMであったが(いずれもVM-)、いずれの症例ともに追加手術は拒否され、pSMの4例に局所放射線照射追加した。追加放射線照射施行した1例に腰部硬膜内髄外への転移を認めたが、手術及び放射線照射にて消失し、その他の症例は現在再発を認めていない。脈管侵襲陽性であったのはpLPMの2例でly+を認めたが、患者の希望で追加治療せず、EUSなどで経過観察し、現在局所及び転移再発は認めない。切除不能であった3例はいずれも放射線(化学)療法とAPCにてCRを維持している。合併症に関しては、初期に穿孔6例(12.2%)認めたのみで後出血は認めなかった。【結論】全49例中1例が他病死されている以外45例で現在までのところ、局所再発および制御不能な遠隔転移再発は認めておらず、治療成績、経過とも良好な結果であった。病理学的評価が正確なESDは従来のEMRよりも過不足のない適切な追加治療、経過観察が可能となり、有用であると考えられた。
索引用語 食道癌, ESD