セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 94:クローン病における悪性疾患合併症例の検討 |
演者 | 東 大二郎(福岡大学 筑紫病院 外科) |
共同演者 | 二見 喜太郎(福岡大学 筑紫病院 外科), 河原 一雅(福岡大学 筑紫病院 外科), 紙谷 孝則(福岡大学 筑紫病院 外科), 関 克典(福岡大学 筑紫病院 外科), 成富 一哉(福岡大学 筑紫病院 外科), 永川 祐二(福岡大学 筑紫病院 外科), 平野 憲二(福岡大学 筑紫病院 外科), 田村 智章(福岡大学 筑紫病院 外科), 富安 孝成(福岡大学 筑紫病院 外科), 石橋 由紀子(福岡大学 筑紫病院 外科), 下村 保(福岡大学 筑紫病院 外科), 新居 かおり(福岡大学 筑紫病院 外科), 黒木 博介(福岡大学 筑紫病院 外科) |
抄録 | 2005年12月までにクローン病(以下CD)腸管病変に対して外科治療を行なった286例のうち,経過中に悪性疾患を合併した症例は13例(4.5%)であった.うちわけは,大腸癌6例,直腸カルチノイド1例,胃癌1例,子宮癌1例,甲状腺癌1例,皮膚癌1例,急性白血病2例で,13例中11例は固型癌で,大腸とくに肛門部の癌合併が最も高頻度であった.大腸癌以外の悪性疾患合併例では,胃癌症例は69歳発症であったが,その他の症例は50歳未満の若年発症例であった.CD発症から悪性疾患診断までの期間は平均208.8ヶ月(69~387ヶ月)で,CD病型別には,小腸型で0.9%(1/106),小腸大腸型2.5%(4/163),大腸型5.9%(1/17)であった.高頻度の大腸癌について検討すると,下部直腸癌の1例は粘膜内癌で再発なく経過しているが,肛門部癌は5例とも周辺臓器に浸潤した高度進行癌で,2例は切除不能であった.肛門部癌5例における肉眼型は4例が3型,4型の浸潤型で,組織所見では4例が粘液産生を伴う癌で,1例は低分化の内分泌腫瘍であった.また,5例のうち4例に痔瘻の既往を有していた.予後は不良で,切除3例は各々18,17,3ヶ月で再発死亡,非切除2例では1例は診断後4ヶ月で死亡,1例は診断後9ヶ月の現在,放射化学線療法にて治療継続中であるが,新たに骨転移を認めている.本邦でも長期経過例の増加により,CDに合併した悪性疾患の報告が増えている.とくに下部直腸,肛門部に癌合併のリスクが高く,症状が出現した時にはすでに進行癌であることが多い.早期発見のためには通常の診療においても癌合併を念頭において対応し,サーベイランスまで考慮した計画的な観察が重要と考える. |
索引用語 | クローン病, 悪性腫瘍 |