セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
51:重症急性膵炎を契機に発見された自己免疫性膵炎の1例
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演者 |
大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院消化器科) |
共同演者 |
植木 敏晴(福岡大学筑紫病院消化器科), 清水 愛子(福岡大学筑紫病院消化器科), 大谷 圭介(福岡大学筑紫病院消化器科), 藤村 成仁(福岡大学筑紫病院消化器科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科) |
抄録 |
症例は40歳代の男性、虫垂炎、大腸憩室炎の既往歴あり。2003年頃検診で高血圧、高脂血症(IIb)を指摘された。2004年4月朝食後に上腹部痛が出現、昼食後に増悪したため近医受診。血液検査所見でAmylase 720IU/l、CRP 32.9mg/dlと上昇があり、急性膵炎の診断で当科へ紹介入院となった。入院時の血液検査でWBC 8630/μl、Amylase 190IU/l、CRP 43.9mg/dl、Lipase 414U/l、エラスターゼ1 4090ng/dlであった。腹部造影CTでは、膵はびまん性に腫大し、周囲のfluid collectionは、左後腎傍腔に及んでいたことによりCT gradeIVであった。以上により重症急性膵炎(重症I、重症度スコア3点)の診断で同日より蛋白分解酵素阻害薬と抗生剤の持続動注療法(FUT+IPM/CS)を8日間施行した。以後FUTの漸減を行った。第21病日より経口摂取開始としたが、膵炎の再燃はみられなかった。ERCPでは主膵管はびまん性の狭細化あり、分枝膵管の広狭不整を認めた。自己抗体は陰性であったが、IgG4 472ng/Lと上昇していたため、自己免疫性膵炎と診断した。退院後膵炎の再燃はみられなかった。約2年後に施行したERPでは主膵管の狭細化は改善傾向であった。CT上は膵は萎縮していたが、75gOGTTは正常patternで、PFD試験もほぼ正常で膵機能は保たれていた。2007年3月現在も寛解を維持している。以上重症急性膵炎を契機に発見された自己免疫性膵炎を報告した。ステロイドを使用せずに蛋白分解酵素阻害薬の投与のみで軽快し、約3年の経過後も寛解を維持している。 |
索引用語 |
重症急性膵炎, 自己免疫性膵炎 |