セッション情報 一般演題

タイトル 139:

内視鏡的に腫瘍の範囲が認識しえた過形成性ポリープ内癌の二例

演者 梁井 俊一(福岡赤十字病院 消化器科)
共同演者 平川 克哉(福岡赤十字病院 消化器科), 姫野 祐一郎(福岡赤十字病院 消化器科), 藤岡 審(福岡赤十字病院 消化器科), 平野 敦士(福岡赤十字病院 消化器科), 藤田 恒平(福岡赤十字病院 消化器科), 天野 角哉(福岡赤十字病院 消化器科), 中島 豊(福岡赤十字病院 病理部), 八尾 隆史(九州大学病院 形態機能病理学), 平野 雅士(平野医院)
抄録 症例1は65歳、女性。2006年10月心窩部痛を自覚し近医受診し上部消化管内視鏡検査が施行され、異常を認めたため精査加療目的に当科紹介入院となった。上部消化管内視鏡検査では前庭部小弯に発赤調の基部とうさぎの耳様に突出する2本の褪色調の隆起を伴う病変を認め、この褪色調の部位からの生検がGroup3であった。胃X線検査では、大きさ3cmの可動性良好な分葉状隆起で、検査開始時には十二指腸球部に迷入していた。過形成性ポリープ内の突出した隆起部に上皮性腫瘍の併存が示唆されたため、内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理組織学的には、発赤調の基部は過形成性ポリープで、2本の突出隆起部は高分化腺癌で、過形成性ポリープの癌化と考えられた。癌は粘膜内癌で断端陰性、脈管侵襲は認めず完全切除と考えられた。症例2は78歳、女性。2005年10月上部消化管内視鏡検査で噴門部に山田3型の発赤調隆起を認め、生検Group1で過形成性ポリープと診断された。13ヶ月後の上部消化管内視鏡検査では、同病変は指状に細長く増大し、一部に褪色調の部位を認めた。発赤部の生検はGroup1であったが、増大傾向にあったため内視鏡的粘膜切除術を施行した。病理組織学的には過形成性ポリープで、褪色調の部位に一致して高分化腺癌を認めた。癌は粘膜内癌で断端陰性、脈管侵襲は認めず完全切除と考えられた。過形成性ポリープの癌化は比較的稀であり、癌化例の内視鏡所見については十分な検討が行われていない。自験例に認められたポリープ表面の褪色調所見は癌の発生部位に一致しており、癌化を伴う過形成性ポリープの内視鏡所見であることが示唆された。
索引用語 過形成性ポリープ, 高分化腺癌