セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 134:C型肝硬変に合併したdiffuse antral vascular ectasiaからの出血に対してアルゴンプラズマ凝固法が有効であった1例 |
演者 | 馬場 真二(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科) |
共同演者 | 高木 浩史(甘木朝倉医師会病院 内科), 實藤 俊昭(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 田口 順(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 梶原 雅彦(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 石井 邦英(甘木朝倉医師会立朝倉病院 内科), 安倍 弘彦(甘木朝倉医師会病院 内科), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門) |
抄録 | 【はじめに】胃前庭部毛細血管拡張症 (diffuse antral vascular ectasia ; DAVE) は1984年Jabbariらによって提唱された疾患概念で、胃幽門前庭部に毛細血管拡張を伴う発赤が幽門に収束するように縞状、放射状にみられ、拡張毛細血管からの慢性出血をきたす疾患である。今回我々は、著明な貧血を認めたC型肝硬変に合併したDAVEに対してアルゴンプラズマ凝固法 (APC) にて治療しえた1例を経験したので報告する。【症例】74歳女性、C型肝硬変、胃食道静脈瘤等の診断にて当科外来通院中であった。慢性貧血を認めており、上部消化管内視鏡検査では胃幽門前庭部に放射状の発赤を認めていた。平成18年12月頃より貧血の進行を認め、同年12月にはHb 5.3g/dlまで低下した。また腹水貯留の増加を生じ始めた。上部消化管内視鏡検査においても胃幽門前庭部の放射状発赤は増悪傾向を示した。発赤は毛細血管拡張を主体であることよりDAVEと診断した。他に出血の原因を認めずDAVEよりの出血が貧血の原因と考えられた。DAVEに対する治療としてAPCを施行した。APCは出力50Wにて毛細血管を凝固した。1回あたりの所要時間は約15分で2回の治療にて病変の大部分を凝固しえた。治療後、Hb 8.8~9.7g/dlと貧血の改善を認めた。【まとめ】DAVEに対する治療として従来は手術や、薬物療法が行われてきたが、近年は低侵襲の内視鏡的治療が主流となっている。その中でもAPCは非接触凝固で連続照射が可能であり、治療時間も短く、最大凝固深度が3mm以下でレーザー治療と比較して消化管穿孔の危険性が少ないという特徴をもっている。DAVEの病理組織上は、粘膜下層より以浅の血管拡張であるため、APCによる治療の良い適応疾患と考えられる。またDAVEは肝硬変や慢性腎不全といった重篤な基礎疾患を有していることが多いため、治療リスクの低いAPCはDAVEの治療に有用であると考えられた。 |
索引用語 | DAVE, APC |