セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-31:

Cyclooxygenase(COX)-2阻害剤(モービック)併用化学療法が著効した肝細胞癌肺転移の1例

演者 坂本 良平(福岡大学 医学部 消化器内科)
共同演者 西澤 新也(福岡大学 医学部 消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学 医学部 消化器内科), 松本 照雄(福岡大学 医学部 消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学 医学部 消化器内科), 花野 貴幸(福岡大学 医学部 消化器内科), 上田 秀一(福岡大学 医学部 消化器内科), 猪俣 慎二郎(福岡大学 医学部 消化器内科), 田中 崇(福岡大学 医学部 消化器内科), 阿南 章(福岡大学 医学部 消化器内科), 岩田 郁(福岡大学 医学部 消化器内科), 横山 昌典(福岡大学 医学部 消化器内科), 入江 真(福岡大学 医学部 消化器内科), 竹山 康章(福岡大学 医学部 消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学 医学部 消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は71歳の男性。2006年3月と9月に肝細胞癌に対してTAE、RFAを受けた。その後、外来にて経過観察されていたが、12月上旬に血痰を認めるようになったため、精査加療目的で当院へ入院となった。入院時の血液検査はWBC 3600/μl, Hb 11.6 g/dl, Plt 17.3万/μl, PT 91%, T.Bil 0.7 mg/dl, AST 71 IU/l, ALT 44 IU/l, LDH 184 IU/l, ALP 256 IU/l, γ-GTP 51 IU/lで、HCV抗体は陽性。腫瘍マーカーはAFP 30.7 ng/ml, PIVKA-II 83 mAU/mlであった。胸部エックス線検査にて両葉肺野に多発する腫瘤陰影を認めた。肝細胞癌の肺転移と診断し、5-FU 1000 mg/day 5日間(day 1-5)、カルボプラチン 450 mg/day 1日(day 3)に経口投与のCyclooxygenase(COX)-2阻害剤(モービック)10 mg/day(連日)を加えたレジメンで、全身化学療法を開始した。治療開始1週間後の胸部エックス線検査では、腫瘤陰影の著明な縮小を認めた。COX-2阻害剤は、腫瘍細胞のアポトーシス誘導や血管新生阻害作用を介して、抗腫瘍効果を有するとの報告がなされている。さらに肝細胞癌においてCOX-2阻害剤の単独投与が著効した症例も報告されている。本症例では多剤を併用しておりCOX-2阻害薬の抗腫瘍効果は不明であるが、わずかでも可能性があり、かつ、侵襲が少ない薬物療法であれば、積極的に試みる価値があると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 肺転移