セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告2

タイトル 消P-738:

neurofibromatosis type 1に合併した腹腔内plexiform neurofibromatosisの1例

演者 藤澤 貴史(加古川西市民病院・消化器内科)
共同演者 高田 政文(加古川西市民病院・総合内科), 大内 佐智子(製鉄記念広畑病院・消化器内科), 上山 茂充(製鉄記念広畑病院・消化器内科)
抄録 症例は20歳台男性で,胆石治療および肝異常陰影精査目的にて入院となった。家族歴では母にvon Recklinghausen病,既存症で傍脊椎神経線維腫症。16歳時に上部消化管出血で近医に入院となり,Vater乳頭の出血性潰瘍を認め,他に肝異常陰影および胃十二指腸,小腸に壁肥厚を認めた。皮膚にcafé au lait spotおよび少数の神経線維腫を認めた。血液生化学的検査では全く異常を認めなかった。上部消化管内視鏡検査では胃幽門部の全周性肥厚, Vater乳頭の腫大を認めた。十二指腸からの生検では錯綜する線維芽細胞様の紡錘形細胞の増生を認め,S-100染色陽性であったためganglioneuromatosisを強く疑った。腹部超音波検査では門脈周囲に低エコーの腫瘍性病変が拡がっていた。造影CTでは肝内門脈周囲から肝門部,腸間膜にかけて広範囲に低吸収域が拡がり, MRIでは同部はT2強調画像で高信号を示した。以上より,NF-1に合併したplexiform neurofibromatosis と診断した。胆石も認めたことより手術を行った。肝十二指腸間膜,腸間膜など腹腔内に広範囲に白色調結節がびまん性に認められ,胆嚢周囲も同様の所見であった。胆嚢の漿膜側中心に神経線維腫が多発しており,筋層から粘膜にかけても同様の所見を認めた。消化管や肝病変も同様の組織所見と推定された。以上より,腹腔内全体に拡がるplexiform neurofibromatosisと診断した。10年の経過観察中,画像所見に大きな変化はなく,悪性化も認めなかった。NF-1に合併したplexiform neurofibromatosisは15例目,diffuse ganglioneuromatosisは16例目と極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する。
索引用語 plexiform neurofibromatosis, neurofibromatosis type 1