セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
38:経過中に重症腸管出血性大腸菌感染症を併発したC型慢性肝炎の1例
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演者 |
香川 浩一(国家公務員共済組合連合会 新別府病院 消化器科) |
共同演者 |
錦織 英史(国家公務員共済組合連合会 新別府病院 消化器科), 杉田 光司(国家公務員共済組合連合会 新別府病院 消化器科), 後藤 康彦(国家公務員共済組合連合会 新別府病院 消化器科), 沖田 敬(国家公務員共済組合連合会 新別府病院 消化器科), 中川 晴雄(国家公務員共済組合連合会 新別府病院 消化器科) |
抄録 |
症例は63才の女性。主訴は下血。家族歴では父親が胃癌で死亡。既往歴としてピリンアレルギーと緑内障の手術歴あり。平成15年の検診で肝障害を指摘され、同年よりC型慢性肝炎の診断で近医に通院中であった。平成17年8月29日より下痢が出現し、31日の夜から2時間おきに水様下痢となった。9月1日朝からは暗赤色の下血を認めるようになったため近医を受診した。腸炎と診断され同日当科紹介入院となった。入院時は意識清明、体温37.2度、血圧102/67 mmHg、黄疸や貧血はなかったが、腹部は軽度膨隆して全体に圧痛を認めた。血液検査ではWBC 10600 /μl、Hb 14.7 g/dl、PLT 10.9万 /μl、CRP 6.48 mg/dl、T-bil 0.99 mg/dl、GOT 72 IU/l、GPT 62 IU/lと慢性肝障害と炎症所見を認めた。内視鏡検査では大腸にびまん性の浮腫と出血性びらんを認め、細菌学的検査にて腸管出血性大腸菌O157感染症と診断した。ホスホマイシンの治療を開始したが入院4日目より溶血性貧血および血小板低下を認め、さらに脳症や腎障害も出現したため、HUS/TTPの合併と診断した。13回の血漿交換、赤血球および血小板輸血、CHDFなどの集中治療によって軽快し、入院133日目に退院した。経過中のGPT値はほぼ正常範囲で変動し、黄疸や腹水などの肝不全症状も軽度であったが、腹部CTにて肝左葉および脾臓の腫大が短期間で進行した。O157感染の中で重症合併症を起こしやすい条件として乳幼児や高齢者への感染が報告されている。本例は慢性肝疾患をもつ成人においての重症例であった。感染前後の肝機能の経過も加えて報告する。 |
索引用語 |
O157, C型慢性肝炎 |