セッション情報 シンポジウム3

タイトル 研-06:

症状の改善にTAEが有効であった肝転移をともなう十二指腸原発内分泌細胞癌の1例

演者 竹内 圭志(福岡大学 医学部 消化器内科)
共同演者 花野 貴幸(福岡大学 医学部 消化器内科), 松本 照雄(福岡大学 医学部 消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学 医学部 消化器内科), 西澤 新也(福岡大学 医学部 消化器内科), 上田 秀一(福岡大学 医学部 消化器内科), 猪俣 慎二郎(福岡大学 医学部 消化器内科), 田中 崇(福岡大学 医学部 消化器内科), 阿南 章(福岡大学 医学部 消化器内科), 岩田 郁(福岡大学 医学部 消化器内科), 横山 昌典(福岡大学 医学部 消化器内科), 入江 真(福岡大学 医学部 消化器内科), 竹山 康章(福岡大学 医学部 消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学 医学部 消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学 医学部 消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は80歳の男性。2006年11月頃より、1日20行程度の下痢が続くようになり、同年12月18日に当院を受診された。大腸内視鏡および小腸造影検査で異常所見は認めなかったが、腹部超音波検査にて肝腫瘍を指摘されたため、精査加療目的で入院となった。血液検査ではWBC 6200/μl, Hb 13.5 g/dl, Plt 17.9万/μl, Alb 4.0 g/dl, T.bil 0.7 mg/dl, AST 55 IU/l, ALT 61 IU/l, LDH 572 IU/l, ALP 540 IU/l, γ-GTP 73 IU/l, CRP 0.0 mg/dlと肝胆道系酵素の上昇を認めた。HBs抗原、HCV抗体はともに陰性。また腫瘍マーカーはAFP, PIVKA-II, CEA, CA19-9のいずれも正常であった。腹部超音波検査では肝内に多発する腫瘍が認められた。腹部造影CTにおいて、この肝腫瘍は造影早期相での造影効果を認めた。転移性肝癌として原発巣の検索を行うと同時に、下痢の原因精査を平行して行った。上部消化管内視鏡検査にて、十二指腸球部後壁に活動性潰瘍を認め、その生検診断は内分泌細胞癌であった。また、セロトニンの代謝産物である5HIAAの血中レベルは193.4 ng/ml(正常1.8-6.1)と著明に上昇していた。以上より肝転移をともなう十二指腸原発内分泌細胞癌と診断した。下痢に対しては対症療法では効果が不十分で、また手術も不可能であったことから治療法としてTAEを選択した。TAE後、血中5HIAA値は27.4 ng/mlまで低下し、下痢は著明に改善した。十二指腸原発内分泌細胞癌はまれであり、さらにTAEにより症状の著明な改善を認めた症例を経験したので報告する。
索引用語 十二指腸癌, セロトニン