セッション情報 一般演題

タイトル 238:

小腸二重造影により診断可能であったメッケル憩室の1例

演者 関 剛彦(福岡大学 筑紫病院 消化器科)
共同演者 青見 賢明(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 高木 靖寛(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 平井 郁仁(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 八尾 建史(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 松井 敏幸(福岡大学 筑紫病院 消化器科), 関 克典(福岡大学 筑紫病院 外科), 平野 憲二(福岡大学 筑紫病院 外科), 河原 一雅(福岡大学 筑紫病院 外科), 岩下 明徳(福岡大学 筑紫病院 病理)
抄録 従来メッケル憩室は小腸造影検査や99mTc-O4シンチグラフィー、血管造影検査、緊急手術で確定診断される場合が多かったが、近年DBEの開発により小腸全域にわたる内視鏡的観察ができるようになり、DBEによる診断の有用性が多数報告されている。DBEは比較的侵襲の伴う検査であり、一般検査には不向きである、小腸二重造影検査は安全な検査であり、血管性病変などを除いて小腸疾患の診断に必要な検査法と考えられる。今回我々は小腸二重造影により診断が可能であったメッケル憩室の1例を経験したので報告する。症例:33歳男性、主訴:腹痛 H18年12月初旬より腹痛が出現。12月15日当院受診。GIF、腹部エコー、経口小腸検査施行したが、特に異常は指摘されず貧血もなかった。12月22日大腸内視鏡検査を施行した。回腸末端に小びらんのみ認めた。その後も著明な腹痛が継続し、再度小腸精査目的にて小腸二重造影検査を施行した。回腸に直径7cmの盲端管腔を認め、その先端は輪状に狭窄し浅い潰瘍を伴っており、腸間膜対側に付着しておりメッケル憩室と診断した。1月19日病変確認のためDBEを施行した。下部小腸に二股に分かれた管腔を認め、輪状に狭窄し浅い潰瘍を伴っており小腸二重造影検査と一致する所見であった。憩室より肛門側に点墨を施行した。症状は消失していたが、本人の希望により当院外科にてメッケル憩室切除術を施行。切除標本の肉眼的所見では大きさは70×55mm.ほぼ中央にヒダ集中を伴う潰瘍を認めた。病理組織学的所見では真性憩室で胃粘膜組織の迷入を認めた。また標本の中央にUL-IIIの潰瘍を認めた。腸閉塞や腸重積、癒着などの所見はなく、腹痛の原因の特定は出来なかった。小腸二重造影検査は丁寧に腸管分離を行う必要があり習熟が必要である。しかし安全で詳細な病変を描出できDBEと同等の診断ができた。小腸疾患を疑う場合、まず試みてみるべき検査と考えられた。
索引用語 小腸二重造影, メッケル憩室