セッション情報 | シンポジウム3 |
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タイトル | 研-15:急性肝炎との鑑別に苦慮したゲノタイプA B型慢性肝炎急性増悪の一例 |
演者 | 真鍋 直也(琉球大学 医学部 第一内科) |
共同演者 | 渡辺 貴子(琉球大学 医学部 第一内科), 城間 丈二(琉球大学 医学部 第一内科), 前城 達次(琉球大学 医学部 第一内科), 藤田 次郎(琉球大学 医学部 第一内科), 山城 剛(琉球大学 医学部附属病院 輸血部), 金城 福則(琉球大学 医学部付属病院 光学医療診療部), 佐久川 廣(ハートライフ病院 内科) |
抄録 | 【はじめに】わが国では成人のHBV初感染の場合、急性肝炎を経てHBs抗原は陰性化することが一般的だが、感染後の経過については近年HBVのgenotypeにより異なることが明らかになってきている。今回我々は急性肝炎との鑑別に苦慮したB型慢性肝炎の一例を経験したので報告する。【症例】43歳男性【主訴】全身倦怠感、黄疸、食欲低下。【現病歴】毎年の検診歴はあったが、平成18年12月に上記主訴にて近医受診しAST/ALTの上昇とHBs抗原陽性からB型急性肝炎を疑われ当院へ紹介入院となった。【検査所見】PT 58.5%、TB 15.9 mg/dL、DB 10.8 mg/dL、AST 2727 IU/L、ALT 2761 IU/L、ALP 629 IU/L、LDH 912 IU/L、γ-GTP 404 IU/L、IgM-HBcAb 10.0 COI(CLIA)、28.9 COI(RIA法)、HBeAg 陽性、HBeAb 陰性、HBcAb 15.6(CLIA法)、HBcAb(X200)100%INH【病理所見】門脈域及び小葉内には炎症細胞浸潤を認め、門脈域が線維性に拡大しており慢性肝炎の急性増悪が考えられた。【入院後経過】肝生検後、強い肝機能障害とHBV-DNA高値よりHBV急性増悪も否定できないためエンテカビル(0.5 mg/day)を開始した。以後肝機能障害は速やかに改善し現在は外来でフォロー中である。【考察】この症例はIgM-HBc抗体上昇、HBe抗原陽性、最近の性交渉の既往より初感染が、一方CLIA法でのHBc抗体も15.6と高値であり加えて肝組織から慢性肝炎が疑われた。入院当初、どちらの病態か明確ではなかったが、急性肝不全への進行が危惧されたためエンテカビルを開始し、その後ゲノタイプはAEと判明した。ゲノタイプ Aでは初感染の10~20%が慢性化することから、今回のエピソード以前にゲノタイプ Aに感染し,慢性化した状態でしばらく経過した後に急性増悪したと推測された。近年、ゲノタイプAによる感染例が増加してきており経過予測や治療方針決定の上ではゲノタイプを測定することが有用であると考えられた。 |
索引用語 | HBV, genotypeA |