セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告2

タイトル 消P-739:

感冒を契機に発見された肺と肝に発生した類上皮性血管内皮腫の1例

演者 林 則之(旭労災病院・消化器科)
共同演者 松田 大知(旭労災病院・消化器科), 柳本 研一郎(旭労災病院・消化器科), 遠藤 雅行(旭労災病院・消化器科), 小笹 貴士(旭労災病院・消化器科), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
抄録 症例は28才女性。2010年5月、発熱等の感冒症状で近医受診した。採血にて肝機能異を認め腹部超音波検査施行したところ、肝腫瘍を指摘され当院紹介受診となった。血液生化学検査、腫瘍マーカーは正常範囲内であった。腹部超音波検査では、肝右葉に約9cm大の境界不明瞭な辺縁低エコー帯、中心部に高エコー領域を伴った等エコー腫瘍を認めた。左葉の辺縁にも同様の腫瘍が散在していた。胸部CTでは、両葉に径7mmまでの結節が多発していた。腹部単純CTでは、肝両葉に比較的境界明瞭な不整形の低濃度腫瘍を認めた。DynamicCTでは、動脈相、門脈相と腫瘍辺縁がわずかに造影効果を認め、平衝相ではまだらながら中心部まで造影効果を認めた。また腫瘍内部を血管が貫通しており一部が狭小化していた。腹部MRIでは、両葉の腫瘍は、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を呈した。EOB・プリモビストによる造影MRIでは、不均一に淡い造影効果を認めた。PET-CTでは、肝の病変部と肺の病変の一部に集積を認めた。肝生検にて類上皮性血管内皮腫(Epithelioid hemangioendothelioma)と診断された。外科切除、肝移植の適応はなく、肝動注療法、全身化学療法などの治療は本人の希望で施行せず経過観察中である。類上皮性血管内皮腫は間葉系腫瘍で、肝臓のほか、肺、リンパ節、骨、脾臓、軟部組織などに発生することが知られている。悪性度は中等度であるが、発見時切除不能なことが多く、化学療法、放射線療法、免疫療法などの感受性が低く、確立された治療法はない。今回、われわれは肝生検にて確定診断された類上皮性血管内皮腫を経験した。非常にまれな疾患であり文献的考察を加えて報告する。
索引用語 類上皮性血管内皮腫, 肝生検