セッション情報 一般演題

タイトル 36:

診断に苦慮したアメーバ性大腸炎の1例

演者 今中 大(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 福田 芳生(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 藤田 浩(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 嵜山 敏男(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 倉元 隆二(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学), 山路 尚久(京都大学病院 探索医療センターDELIMITER倫生会三州病院), 瀬戸山 仁(京都大学病院 探索医療センターDELIMITER倫生会三州病院), 堀添 善尚(倫生会三州病院), 横山 憲三(倫生会三州病院), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院 消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 症例は53歳の男性。平成17年10月頃より少量の下血、軟便、肛門部違和感があり、12月頃近医を受診。潰瘍性大腸炎と診断され、ペンタサ内服等の治療を受けた。その後も症状改善しないため、平成18年6月23日三州病院を受診し、下部消化管内視鏡検査により盲腸・上行結腸・直腸に多発性の小潰瘍が認められた。生検組織検査では非特異的な炎症所見のみで確定診断に至らなかったため、精査・加療目的で8月25日当科に入院した。腹部CT検査では盲腸から上行結腸にかけて壁肥厚が著明で、周囲に多数の腫脹したリンパ節が認められた。当院での下部消化管内視鏡検査では、盲腸から上行結腸にかけて白苔を伴う小潰瘍が散在しており、同部位から横行結腸にかけて介在粘膜は粗造で血管透見が消失していた。直腸には白苔を伴った、たこいぼ様のびらんを認めた。白苔部を中心に生検し、アメーバ栄養体を確認したためアメーバ性大腸炎と診断し、メトロニダゾールにより治療した。以後症状はすみやかに軽快し、再検した内視鏡検査においても潰瘍は瘢痕化し、著明に改善していた。病歴を詳細に聴取したところ、平成16年春に台湾への渡航歴があった。アメーバ性大腸炎は、近年の海外渡航の普及や性行為の多様化などにより増加していると考えられているが、診断に苦慮する例も少なくない。診断にあたっては特徴的な内視鏡像から本疾患を念頭に置き、特に生検に際しては白苔部から組織を採取することが重要である。今回診断に約1年を要したアメーバ性大腸炎の症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 アメーバ性大腸炎, 画像診断