セッション情報 一般演題

タイトル 83:

長期間観察しえた性腺機能低下症を合併した男性原発性胆汁性肝硬変の1例

演者 高橋 祐幸(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 内科第一)
共同演者 清家 正隆(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 内科第一), 井上 恵(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 内科第一), 織部 淳哉(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 内科第一), 姫野 克郎(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 内科第一), 吉松 博信(大分大学 医学部 生体分子構造機能制御講座 内科第一)
抄録 【はじめに】原発性胆汁性肝硬変症(以下PBC)の発症には明らかな性差が存在し、一般に中年以降の女性に多く、男性は全体の約10%にすぎない。その成因に免疫異常が関与していることはよく知られているが、妊娠や出産を契機にPBCを発症する症例もみられ、性ホルモンが成因あるは増悪因子の一つとして関与している可能性も報告されている。今回我々は性腺機能低下症を合併したPBCの男性例を経験し、テストステロン製剤投与により約8年間にわたり経過を観察しえたので報告する。【症例】56歳男性。生活歴では飲酒1合/日、喫煙歴なし。家族歴は両親が近親婚、肝疾患の家族歴はなし。思春期より変声が認められず、二次性徴も認められなかった。42歳頃より検診で肝胆道系酵素の軽度上昇を指摘され、平成9年8月近医受診し、抗ミトコンドリア抗体陽性(80倍)であったことからPBCを疑われ、当科紹介入院となった。AST 61IU/L、ALT 58IU/L、ALP 220 IU/L、LAP 64 IU/L、γ-GTP 33 IU/L、ANA 2560倍、AMA 20倍、Ig-G 1605mg/dl、Ig-A 761mg/dl、Ig-M 1605mg/dlと肝酵素の上昇と抗ミトコンドリア抗体陽性であった。同年12月10日の肝生検では、門脈域にリンパ球浸潤がみられ、また小葉間胆管の変性、胆管の消失が認められ、一部picemeal necrosisも認められ、ScheuerのI期からII期と考えられた。テストステロン製剤125mg/2週間の投与にて肝機能は3ヶ月で正常化した。外来通院にて治療を継続しているが、二次性徴の発現が認められ、現在も肝機能正常が継続している。【考案】PBCは、何故女性に発症が集中するのか、その理由はいまだ十分解明されてはいない。本症例は男性の性腺機能低下症例であり、テストステロン欠乏により相対的にエストロゲン優位の状態にあったためPBCを発症したとも考えられた。
索引用語 PBC, 性ホルモン