セッション情報 一般演題

タイトル 55:

当科における膵仮性嚢胞の治療成績と問題点

演者 菅 偉哉(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
共同演者 岡部 義信(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 石田 祐介(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 加治 亮平(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 木下 壽文(久留米大学 医学部 外科学講座 肝胆膵部門), 鶴田 修(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座 消化器内科部門)
抄録 【目的】当科における膵仮性嚢胞の治療成績と問題点について検討した。【対象および方法】対象は2002年10月から2007年3月までの間に当科で加療を行った膵仮性嚢胞18例。男女比は14:4 、平均年齢は53.6歳(38-77歳)、平均嚢胞径は105.5mm(50mm-348mm)であった。成因は、急性膵炎合併例が8例 (アルコール性3例、外傷後2例、原因不明3例)、慢性膵炎合併例が10例(すべてアルコール性)であった。治療法、仮性嚢胞の縮小効果、合併症、問題点について検討した。【成績】初回治療法は、内視鏡的胃嚢胞ドレナージ術(ECG)13 例(13例中2例はオクトレオチド投与を先行させた)、経乳頭的嚢胞ドレナージ術(ETCD)3例、内視鏡的治療が困難であった2例はオクトレオチドを投与した。18例中16例は十分な縮小効果を得られたが、2例は重症急性膵炎後膵膿瘍のためドレナージが不十分であり、1例は経皮的嚢胞ドレナージ術を、1例は外科的治療を必要とした。手術例を除いた17例の平均観察期間は600.0日(61-1509日)で10例は無再発であった。4ヶ月後に内瘻tubeを抜去した1例に再発を認め、ECGを再施行した。合併症として、ECGで初回内瘻を行った1例にtubeの嚢胞内迷入(術直後)を認めたが内視鏡的に対応し得た。平均入院期間は73.5±39.1日であった。【結論】膵仮性嚢胞に対する治療法はいまだ十分なconsensus は得られていない。近年、内視鏡的治療が積極的に行われるようになり、その安全性、有用性が確立されつつある。一方、酢酸オクトレオチド投与で仮性嚢胞が消失した報告もあり、その組み合わせが今後の検討課題である。今後、多施設によるprospectiveな検討が必要と思われる。
索引用語 膵仮性嚢胞, 嚢胞ドレナージ