セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
169:直腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)-バイポーラ針状メスB-ナイフによる治療手技-
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演者 |
野崎 良一(大腸肛門病センター高野病院 消化器内科) |
共同演者 |
坂田 玄太郎(大腸肛門病センター高野病院 消化器内科), 大湾 朝尚(大腸肛門病センター高野病院 消化器内科), 山田 一隆(大腸肛門病センター高野病院 消化器外科) |
抄録 |
【緒言】最近、直腸病変に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が試みられているが、安全性や治療時間の長さなどの問題が指摘されている。当院ではこれまで最大径20mm超える大きな腫瘍性病変に対して内視鏡的粘膜切除術(EMR)を行ってきた。スネアにはバイポーラスネアを使用してきたが、最近EMRに加えて、バイポーラ針状メスB-ナイフを用いたESDにも取り組み始めた。B-ナイフはバイポーラ構造となっているため、理論上ナイフ先端から深部組織への電気的変性がほとんどなく、物理的に強く押し付けない限り穿孔の危険性はモノポーラメスに比べて極めて少ない。われわれが行っているB-ナイフによるESDの治療手技を紹介する。【治療手技】直腸の最大径20mm以上のLST-GやIs、15mm以上のLST-NGを主な対象病変としてESDを施行した。粘膜下層への局注液にはスベニールの希釈液(グリセオールで4倍希釈)を使用した。スコープに先端フードを装着し(最近ではSTフード使用)、周囲切開および粘膜下剥離はすべてB-ナイフで施行した。止血もB-ナイフで行ったが、困難な場合はバイポーラ止血鉗子を使用した。治療後は1ヵ月後に断端部を評価した。【結果】2007年1月~3月までに6例にESDを施行した。最大径は15mm~40mmで、形態は15mm2病変、20mm1病変がLST-NG、20mmと25mmの病変がLST-G、40mm1病変がIsであった。治療時間は29分~60分(平均42分)であった。術後穿孔、出血などの偶発症は認めなかった。全例早期癌(m癌5例、sm癌1例)で、一括完全切除が可能であった。【結論】ESDは現在モノポーラメスが主流であるが、壁が薄く穿孔のリスクの高い大腸病変にバイポーラ針状メスB-ナイフを使用することは今後安全な治療術式のひとつになると考えられた。今後さらに症例を重ね、患者へ十分なインフォームド・コンセントのもと結腸の病変にもB-ナイフによるESDを導入して行く予定である。 |
索引用語 |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD), 直腸腫瘍 |