セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告2

タイトル 消P-741:

転移性肝腫瘍との鑑別を要したメソトレキセート関連リンパ増殖性疾患の一例

演者 竹内 千尋(日立製作所日立総合病院・内科)
共同演者 石川 晶久(日立製作所日立総合病院・内科), 小林 克誠(日立製作所日立総合病院・内科), 大田 弓子(日立製作所日立総合病院・内科), 大野 元子(日立製作所日立総合病院・内科), 大河原 敦(日立製作所日立総合病院・内科), 柿木 信重(日立製作所日立総合病院・内科), 新島 光起(日立製作所日立総合病院・内科), 鴨志田 敏郎(日立製作所日立総合病院・内科), 平井 信二(日立製作所日立総合病院・内科), 岡 裕爾(日立製作所日立総合病院・内科)
抄録 【はじめに】慢性関節リウマチの治療においてメソトレキセートの使用頻度が増加するに従い、メソトレキセート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)が報告されている。今回、転移性肝腫瘍との鑑別を要したMTX-LPDの一例を経験したので報告する。【症例】77歳男性。2006年、他院で関節リウマチと診断された。2008年までエタネルセプトによる治療を行い、その後はMTXの投与を受けていた。2010年4月頃より食欲低下、体重減少、腹痛が出現した。上部消化管内視鏡検査を施行し、胃内に潰瘍性病変を指摘されたが、生検では明らかな悪性所見を認めなかった。また、肝胆道系酵素の上昇を指摘され、腹部USを施行したところ、肝内に多発する腫瘍を指摘され、当科を紹介受診した。血液検査ではWBC 8300/μl、Hb 13.8g/dl、Plt 25.0×103/μl、PT 63%、T-Bil 2.5mg/dl、AST 200IU/l、ALT 83IU/l、LDH 1420IU/l、γGTP 559IU/l、ALP 1012IU/l、CA19-9 416U/ml、IL-2R 4140U/mlで、HBs抗原とHCV抗体は陰性であった。腹部CTを施行したところ、肝および脾臓に多発する腫瘍、腹水を指摘されたが、傍大動脈リンパ節の腫大は認めなかった。EOB-MRIでは肝両葉に多数の結節を認め、結節はT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号、肝細胞造影相で低信号、Dynamic studyでは増強効果が乏しかった。画像診断が困難なため、造影超音波ガイド下に肝腫瘍生検を施行した。病理では大小不同の核を持つ、異形リンパ球の浸潤増殖を認め、免疫染色ではCD3、CD8陽性、CD5陰性より、T細胞リンパ腫と診断した。なお、EBウィルスの抗体価はVCAIgGが160倍、EBNAが80倍で、EBER(in situ hybridization)は陰性であった。MTXを中止したところ症状は改善し、経過観察のUS、CTで縮小傾向を示した。現在、再燃の兆候はなく、外来で経過観察中である。【考察】MTX投与中の肝腫瘍では、MTX-LPDも考慮すべきである。
索引用語 転移性肝腫瘍, メソトレキセート関連リンパ増殖性疾患