セッション情報 一般演題

タイトル 72:

回腸子宮内膜症により腸閉塞を来した一例

演者 佐野 由紀子(友愛会 豊見城中央病院 外科)
共同演者 仲地 厚(友愛会 豊見城中央病院 外科), 照屋 剛(友愛会 豊見城中央病院 外科), 大田 守仁(友愛会 豊見城中央病院 外科), 山元 啓文(友愛会 豊見城中央病院 外科), 安座間 誠(友愛会 豊見城中央病院 外科), 伊佐 勉(友愛会 豊見城中央病院 婦人科), 城間 寛(友愛会 豊見城中央病院 病理), 新垣 京子(友愛会 豊見城中央病院 外科)
抄録 はじめに)腸管子宮内膜症は子宮内膜組織の異所性増殖によって生じる疾患で全子宮内膜症の10%を占めるといわれるが、そのうち回腸に発生するものは7%と比較的希であり、腸閉塞を合併した症例は約40例の報告をみとめるのみである。今回我々は回腸子宮内膜症により腸閉塞を来した一例を経験したので報告する。症例)39歳 女性 2経産主訴)嘔吐既往歴)約11年前に婦人科にて腹腔鏡検査の既往あり。臨床経過)平成18年6月および9月に下腹部痛、嘔吐あり、婦人科にて精査され両側卵巣嚢腫指摘され、月経随伴症状と診断されていた。同年12月に同様の症状あり、子宮筋腫を指摘され、平成19年1月にはMRI検査にて左右内膜症性嚢胞、子宮に両側卵巣嚢胞癒着、および子宮体部に腸管の癒着を指摘されていた。平成19年1月初旬から食欲低下が出現し、その後1カ月で8kgの体重減少をみとめた。2月に下腹部の間欠的な痛みが出現し、改善をみとめなかった。嘔吐もあったため近医を受診した後当院紹介となった。来院時腹部膨満著明であったが、疼痛無く、圧痛や反跳痛は認めなかった。腹部レントゲンにてniveau像を認めた。腹部造影CTにて腹水は極少量であり、小腸全体の拡張・大腸の虚脱・骨盤内での小腸の口径変化を認めたが、造影不良な腸管はなかった。イレウス管を挿入したが減圧不良であり腹部膨満症状の改善をみとめなかったので来院5日目に開腹術を施行した。腹水は漿液性で少量であった。膀胱背側に下部小腸が数箇所、強固に癒着していた。付属器については評価不能であり一塊となった小腸約25cmを切除再建することで腸閉塞を解除した。病理所見で、小腸漿膜下織から筋層及び粘膜下層に腺管と間質を含む子宮内膜組織が島嶼状に散在しており回腸子宮内膜症の所見であった。術後12日目に軽快退院した。結語)回腸子宮内膜症はごく希な疾患であるが、女性の腸閉塞症例においては本疾患も念頭におく必要があると思われる。
索引用語 腸管子宮内膜症, 腸閉塞