セッション情報 一般演題

タイトル 157:

十二指腸原発未分化大細胞リンパ腫の一例

演者 牛島  知之(公立八女総合病院 内科)
共同演者
抄録 (はじめに)十二指腸原発悪性リンパ腫は比較的稀な疾患である。今回 我々は十二指腸狭窄を契機に発見され、診断に苦慮した十二指腸原発未分化大細胞リンパ腫を経験したので報告する。
(症例)66歳、女性。食後の嘔吐を主訴に近医を受診、上部消化管造影で十二指腸狭窄を指摘され精査加療目的に当院紹介受診となった。来院時の腹部レントゲンにて造影検査翌日にもかかわらず 胃,十二指腸球部の造影剤の貯留と拡張を認めていた。減圧後に施行した上部消化管内視鏡検査にて上十二指腸角~十二指腸下行脚に正常粘膜に覆われた隆起性病変を認めており、管腔は隆起により著明に狭窄し、スコープの通過は不可能であった。生検では十二指腸炎の診断であり確定診断には至らなかった。上部消化管造影では同部位は表面平滑、急峻な立ち上がりを認める粘膜下腫瘍様の形態を呈していた。腹部造影CTで膵頭部に接するように4×3cm大の比較的内部均一な腫瘤性病変を認めており、病変は腸管内腔に突出するように認めており、造影にて淡い造影効果を認めていた。また、周囲リンパ節の腫大を認めていた。腫瘍マーカーはCEA 5.1U/ml、CA19-9 17.6U/ml、 sIL2-R 596U/mlであった。術前診断として十二指腸粘膜下腫瘍,鑑別診断としてGIST、平滑筋腫、リンパ腫などが挙げられた。術式としては周囲リンパ節腫大もあり、また術中迅速にて腫大リンパ節はいずれも陰性であったが 腫瘍の術中迅速は悪性腫瘍であることが疑われたため、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(D2)を施行した。術後病理診断は未分化大細胞リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma,以下 ALCL)の診断であった。
(おわりに)未分化大細胞リンパ腫は悪性リンパ腫のなかでも非常に稀な疾患であり、十二指腸原発の報告例は我々の調べたえた限りでは報告例は無く、非常に稀な疾患を経験したので報告した。
索引用語 十二指腸原発悪性リンパ腫, 未分化大細胞リンパ腫