セッション情報 一般演題

タイトル 87:

SLEの経過観察中にCrohn病を合併した1例

演者 三池 忠(宮崎大学 医学部 消化器血液学)
共同演者 田原 良博(宮崎大学 医学部 消化器血液学), 安倍 弘生(宮崎大学 医学部 消化器血液学), 永田 賢治(宮崎大学 医学部 消化器血液学), 下田 和哉(宮崎大学 医学部 消化器血液学), 林 克裕(宮崎大学 医学教育改革推進センター)
抄録 【はじめに】膠原病と自己免疫疾患が共存することは知られているが、その成因は明らかでない。今回われわれは、SLEの経過観察中にCrohn病を併発した1症例を経験したので報告する。【症例】52歳、女性。1995年12月よりRaynaud症状が出現した。1997年8月より蝶形紅斑、関節炎、腎障害、白血球減少症、リンパ球減少症、抗DNA抗体陽性、抗核抗体陽性を認め、SLEと診断した。Prednisoloneにて加療開始したが、2006年8月より腹痛、発熱が出現し、症状が持続したため、精査加療目的に12月7日に当科入院となった。潰瘍性大腸炎の家族歴があり、基礎疾患にSLEがあることより、潰瘍性大腸炎やlupus腸炎の可能性が疑われ、またPrednisoloneの長期投与による各種感染性腸炎も鑑別に挙がった。頻回に便培養を施行したが、有意な異常所見は得られず、クォンティフェロンや抗TBGL抗体も陰性であった。大腸内視鏡検査にて回腸末端に潰瘍、横行結腸に敷石像変化を伴った縦走潰瘍とskip lesionを認め、小腸大腸型のCrohn病と診断した。経腸栄養を開始したが、症状の改善を認めなかったため、Prednisolone40mgにて内服加療開始した。症状は徐々に改善し、大腸内視鏡検査にて回腸末端の潰瘍も改善した。Prednisoloneを20mgまで漸減するも、症状の増悪ないため、2007年2月退院とした。【まとめ】SLEでは過半数に消化器病変が存在するとされているが、SLEとCrohn病の合併例は非常に稀である。SLEに対するPrednisoloneの長期投与があった事、栄養療法に対する反応が乏しかった事などより、本症例では確定診断に苦慮した。
索引用語 SLE, Crohn病