セッション情報 |
ワークショップ1
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タイトル |
W1-08:当科で経験した潰瘍性大腸炎関連腫瘍7症例の検討
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演者 |
森田 勇(福岡大学 医学部 第3内科) |
共同演者 |
青柳 邦彦(福岡大学 医学部 第3内科), 前田 和弘(福岡大学 医学部 第3内科) |
抄録 |
潰瘍性大腸炎関連腫瘍は、罹患期間が10年以上を経過した潰瘍性大腸炎症例(特に全大腸炎型)に合併する率が高く、比較的早期診断が難しく、予後不良の疾患である。 当科にて1995~2007年の間に検査を行った潰瘍性大腸炎関連腫瘍7症例について年齢、性別、発見施設、潰瘍性大腸炎の罹患年数、罹患範囲、潰瘍性大腸炎関連腫瘍の発生部位、肉眼型、組織型、dysplasiaの合併、治療法について検討した。 潰瘍性大腸炎関連腫瘍発症時の平均年齢は56.6歳(27~71歳)、性別は男性5例、女性2例で、自施設発見症例3例、他院より紹介4例であった。潰瘍性大腸炎の罹患年数は平均14.8年(0~22年)であったが、潰瘍性大腸炎指摘時に大腸癌を認めた症例があったためで、これを除いた6症例では平均17.2年(9~22年)となる。罹患範囲は全大腸炎型4例、左側大腸炎型3例であった。潰瘍性大腸炎関連腫瘍の発生部位は直腸2例、S状結腸3例、下行結腸1例、虫垂1例、で、ほとんどが下行結腸より肛門側に発生していた。肉眼型はIsp 1例、2型4例、5型2例で、組織型は高分化型腺癌1例、中分化型腺癌3例、低分化型腺癌1例、印環細胞癌2例であり、明らかなdysplasiaを伴う症例は2例(28.6%)であった。治療法としては大腸全摘1例、大腸亜全摘1例、左半結腸・前方切除術1例、下行結腸切除術1例、高位前方切除術1例、回盲部切除術1例、EMR 1例であった。 今回検討した7症例では、本邦の他の報告と同様に罹患後10年以上経過した症例に多く、直腸炎型以外の全大腸炎型、左側大腸炎型に腫瘍の発現を認めた。自施設発見症例3例の内2例は進行癌(IIc 類似進行癌、2型)であったが、1例は早期癌(Isp)として発見されている。罹患年数が10年を超える直腸炎型以外の症例については、サーベイランス内視鏡による早期発見が必要であると考えられた。 |
索引用語 |
潰瘍性大腸炎, 大腸癌 |