セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓-症例報告3

タイトル 消P-742:

腹水濾過濃縮再静注療法(Cell-free and concentrated ascites reinfusion therapy ; CART)を繰り返し施行した難治性肝性腹水症の3例

演者 井田 智則(大森赤十字病院・消化器内科)
共同演者 後藤 亨(大森赤十字病院・消化器内科), 大塚 由紀(大森赤十字病院・消化器内科), 関 志帆子(大森赤十字病院・消化器内科), 西郡 修平(大森赤十字病院・消化器内科), 高橋 昭裕(大森赤十字病院・消化器内科), 濱中 潤(大森赤十字病院・消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院・消化器内科), 太原 洋(大森赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】難治性肝性腹水は予後不良な病態で、現状では緩和的措置として腹水除水を繰り返すことが多いが、腹水に漏出した蛋白の喪失が進み全身状態の低下を来す。腹水濾過濃縮再静注療法(CART)は除水腹水中の不純物を除去し、蛋白成分を濃縮し再静注する治療法である。患者自己蛋白を再利用することが可能であり、近年は難治性肝性腹水症に施行されることが多い。今回、難治性肝性腹水症に対しCARTを繰り返して施行した3症例について検討した。【対象および方法】2009年3月から2011 年2月にかけ当科で難治性肝性腹水に対しCARTを導入した3例(症例1:73歳女性、症例2:59歳女性、症例3:48歳男性)について、治療期間とCART施行頻度、血清アルブミン値の推移、予後についてまとめた。また観察期間内にCARTにより回収し得た自己蛋白量を調べた。【結果】3例ともChild-Pugh class B のC型肝硬変であった。治療期間と施行回数は、症例1で24ヶ月間に30回(月平均1.3±0.8回)、症例2は21ヶ月間で37回(月平均1.8±1.0回)、症例3は5ヶ月間で20回(月平均4.0±1.5回)であった。治療期間中の血清アルブミン値は全例2.0g/dl前後で、著しい変化なく推移した。CART導入後の予後は、症例1が24ヶ月目に肺炎で死亡、症例2は14ヶ月目より腹水貯留量が軽減し良好、症例3は5ヶ月目で肝移植となった。回収した自己蛋白の総量はそれぞれ(1163g、698g、722g)であった。【結論】難治性肝性腹水症にCARTを繰り返し施行することで、安全かつ簡便に腹水コントロールが行えた。
索引用語 難治性肝性腹水, 腹水濾過濃縮再静注