セッション情報 一般演題

タイトル 196:

動注化学療法が有効であった進行胆嚢癌の一例

演者 倉岡 圭(久留米大学 医療センター 消化器科)
共同演者 田中 正俊(久留米大学 医療センター 消化器科), 工藤 まいさ(久留米大学 医療センター 消化器科), 村島 史朗(久留米大学 医療センター 消化器科), 由谷 茂(久留米大学 医療センター 消化器科), 中島 裕(久留米大学 医療センター 消化器科), 原田 和徳(久留米大学 医療センター 消化器科), 佐田 通夫(久留米大学医学部消化器内科)
抄録 【はじめに】切除不能な進行胆嚢癌の予後は極めて不良であることが知られている。今回、閉塞性黄疸、肝床浸潤、リンパ節転移を認める進行胆嚢癌に対してCDDP、5-FU併用動注化学療法が有効であった症例を経験したので報告する。【症例】症例は48才、女性。2006年11月29日に黄疸を認めて紹介入院となる。入院時総ビリルビン11mg/dlと上昇し、超音波診断で肝内胆管、肝門部総胆管の拡張、胆嚢部に一致して充実性腫瘍を認めた。ただちにPTCDを施行し、造影で総胆管は中部で完全閉塞し胆嚢は造影されなかった。減黄後に腹部CTを施行したところ、腫瘍濃染を示す進行胆嚢癌と肝床部に直接浸潤する肝転移を診断した。明らかなリンパ節転移は認めなかった。腫瘍濃染を示すこと、肝床部浸潤が縮小すれば肝切除合併膵頭十二指腸切除と胆管空腸吻合術が可能になると考えて、血管造影を施行し、腫瘍が多血性であることを確認後に固有肝動脈に側孔を開けて動注カテーテルを留置した。CA19-9 958U/ml、CEA 6 ng/mlであった。12月11日よりCDDP 10 mg、5-FU 250 mg/日を10回動注後に効果を評価したところ、腹部CTで胆嚢癌は最大径6 cmから4 cmに縮小、肝床部浸潤も縮小、さらにPTCDチューブによる内瘻化にも成功した。またCA19-9 は400 U/mlと低下していたので2月2日に外科切除を試みた。しかし16番リンパ節の術中迅速診断で転移陽性だったので、試験開腹のみで閉腹した。2月20日より外来化学療法への移行を考えてCDDP 20 mg/週、UFT 1500 mg/週による全身化学療法を再開し、3月14日の腹部CTで胆嚢癌はさらに縮小していた。内瘻チューブはボタン化し、現在は外来化学療法を継続している。【考察とまとめ】切除不能な進行胆嚢癌は予後不良である。しかし本症例のように腫瘍濃染を示す胆嚢癌に対しては、動注化学療法も緊急避難的な導入化学療法として選択される可能性も考慮されると考えて報告した。
索引用語 胆嚢癌, 化学療法