セッション情報 一般演題

タイトル 227:

ソラフェニブの単独投与が有効であった肝細胞癌肺転移の一例

演者 板野 哲(久留米中央病院)
共同演者 藤本 勝洋(福岡メディカルクリニック)
抄録 【症例】63歳男性。HBV・HCVともに陰性の慢性肝炎に発症した巨大肝細胞癌(肝右葉に径13cm)にて2004年7月に肝右葉切除術を施行された。術直後は画像上根治の状態であり、その後経過良好であったが、2005年10月に肺転移が出現し治療目的にて当院紹介となった。初診時、Child-Pugh scoreは5点で全身状態良好であったが、胸部CTにて左肺を中心に肺転移巣を複数認め、AFPが221ng/mlと上昇していた。切除残肝の再発は認めなかった。その後、2005年11月~2006年11月の1年間に、TS-1内服+シスプラチン全身投与、大動脈留置型特殊リザーバーを用いた反復気管支動注療法、ジェムザールの全身投与、活性化自己リンパ球療法、エルロティニブ内服投与を施行するも徐々に肺転移巣は増大し、AFPも11月24日に6620ng/mlと上昇したため、2006年11月25日よりソラニフェブの単独内服投与を400mg/dayにて開始した。開始数日後からソラニフェブの代表的副作用であるhand-foot-skin-reactionが出現したため1週間で投与を中止。しかしAFPは6620ng/mlから12月12日:1240ng/mlと著明に低下したため、 副作用の改善を待って、2007年1月9日よりソラニフェブを200mg/dayの隔日投与で再開した。その後は大きな副作用も認めず現在まで内服投与を継続しており、AFPは1月23日:1470ng/ml、2月20日:1400ng/mlと上昇せず、3月の胸部CTでは肺転移巣の縮小を認めている。【考察】ソラニフェブ(ネクサバール)は、初の経口マルチキナーゼ阻害剤であり腫瘍細胞増殖と腫瘍血管新生を阻害する分子標的薬剤である。本症例のような既存の化学療法が奏効しない進行肝細胞癌に対する新しい選択肢として期待される。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ