セッション情報 |
パネルディスカッション6(消化吸収学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
消化吸収の側面からみた炎症性腸疾患の病態と栄養療法
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タイトル |
消PD6-7:クローン病に対するTNF-α抗体薬(アダリムマブ)の治療効果-栄養評価の面と炎症性サイトカイン動態から-
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演者 |
安孫子 幸人(岩手医大・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
千葉 俊美(岩手医大・消化器・肝臓内科), 鈴木 一幸(岩手医大・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】TNF-α抗体薬(アダリムマブ:ADA)の有効性を栄養状態の面からBody composition analyzer (In body 720)を用いて検討し、ADAの治療効果と炎症性サイトカイン動態との関連を検討した。【対象】クローン病(CD)患者24例(男性15例、女性9名、平均年齢35.8歳)を対象とした。病型は、小腸型6例、小腸大腸型15例、大腸型3例、平均罹病期間は80ヵ月であった。【方法】CDAI値をADA投与前、ADA投与4週後、8週後で測定した。また、投与前と8週後にIn bodyを用い体構成成分の体内水分指数、蛋白指数、筋肉指数および脂肪指数を算出し比較検討した。さらに、ADA投与開始時および投与4週、8週後の血清から17種類のサイトカイン(IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、GM-CSF、IFN-γ、TNF-α、G-CSF、MIP-1β、MCP-1)をBio-plexを用いて測定しその動態を検討した。【結果】CDAI値は投与前176.8±88.9、4週後145.5±83.2、8週後126.8±94.7と投与前と比較して8週後で有意に低下し(p<0.05)、その改善率は4、8週後で13.0%、32.5%であった。体構成成分において、体内水分指数は投与前12.3±2.4 kg/m2、8週後12.5±2.3 kg/m2、筋肉指数は投与前15.8±3.1 kg/m2、8週後16.1±3.0 kg/m2であり、投与前と比較して投与8週後で各体構成成分の増加傾向を認めた。蛋白指数および脂肪指数においては変化を認めなかった。血清サイトカインでは、IL-6が投与前 56.4±46.0 pg/ml、投与4週後 39.9±25.7 pg/ml、8週後36.8±27.0 pg/mlであり投与前と比較して投与8週後に有意な低下を認めた。さらに、血清アルブミン値は投与前と比較して投与8週後に上昇し、CRP値は有意に低下した。【結論】ADA投与によりCD患者の炎症の軽減と栄養改善の傾向を認め、IL-6の低下を認めたことはADAの治療効果を考える上で重要である。CD患者の栄養評価を継続的に行うことは、長期的ADA維持投与の栄養管理の上で重要である。 |
索引用語 |
クローン病, 栄養評価 |